◆ビッグ3危機 新しい移動手段への挑戦を 朝日新聞 |
アメリカの経済成長の象徴だった自動車大手3社「ビッグ3」が経営難に直面している。
経営危機で生じる大量の失業者問題をテコに米政府に救済を求め、あるいは合併による生き残りを模索しているが、それらがうまくいったとして、基幹産業として復活できるのだろうか。
実はこの先にもっと大きな問題が待っている。それは、自動車産業の未来そのものが極めて
不確実になっているということだ。
クルマが燃料電池で走るようになったとしても、どんなに安全になっても、私たちの社会はこれからも自動車による移動、輸送手段を必要とするのだろうか。私たちは将来においても、モビリティー(移動性)の主役を自動車に頼らなくてほならないのだろうかという問題が提示されてきたからだ。
クルマが与える移動体験は個人の自由の象徴となり、多くの人にとって夢の対象となった。そして世界中がクルマ中心のモビリティーを疑うことなく受け入れた。だが、石油価格高騰に続く今回の世界的不況は、期せずしてこの20世紀型というべき産業構造や移動システムに対して根本的な疑問を提示し、同時に人々の夢に水をかけることになった。それは単にクルマの販売が低下しただけでなく、白動車移動への依存度が急速に減っていることにも表れている。
将来における身体的移動が、自動車塾という利己的かつ閉鎖空間移動の延長である必要はない。むしろそれから解放された、より自由で快適な移動手段が開発されるべきである。同時
にまったく新しい概念を持った交通システムや、それの制御方法がもっと社会的に求められて
くるようになるだろう。
私がビッグ3に望むのは、クルマづくりで得たノウハウと設備、そして人材を、新しい社会に向けたモビリティーへの挑戦に生かしてほしいということである。それは無論、アメリカだけでなく、トヨタをはじめとするすべての自動車企業にとって共通の命題なのだ。
若い人たちの間では、すでに、団塊の世代のような熱狂的なクルマへのあこがれはないようですし、自然と見放しているように感じます。ビッグ3の問題は、経営問題ではなくて、将来的にはかっての石炭産業のような、衰退産業になると思われる。
ただ、まだ新興諸国でのパイと取り合いは存在するとしても・・・・