池田 晶子さん 人生は愉快だ その2 |
悩みや苦しみというのは、人生には先があるとする錯覚的時間認識が作り出す。
まあ、一種の気の迷いみたいなもんでしょう。未来への不安、もしくは過去への後悔、いずれも時間認識の勘違いです。だって、未来や過去を悩んだり苦しんだりしているのは、まさしくこの現在ではないですか。
なぜなら、老いるという経験は、誰もが初めての経験であるはずで、せっかくの未知の経験を、
否定してなきものにしてしまうのは惜しい。死ぬとか病むとか老いるとか、当たり前のことを否定して捉えるから人は苦しむことになるのでしょう。やはり、当たり前を当たり前として捉え、なおそれを楽しむという構えが、ひょっとしたら人生の極意なのかもしれません。
<人生相談>
良く言う人と同じ数だけ、悪く言う人がいます。逆も真。他人が良く言おうが悪く言おうが、
自分は自分です。
ご相談によれば、他人の意見にも一理あると思ってしまうとおっしゃる。それこそが大事な態度なのです。
相手を言い負かしたいだけに議論する人ばかりの世の中で、稀に見る美徳の人だと言っていい。
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いずれにせよ、あらゆる霊魂観は物語である。あの世の物語が白昼の政治で議論されるから滑稽なのである。英霊は喜んでいるの、悲しんでいるの、思っているのは自分である。
そう気がつくなら、そんな不可解な議論をするよりよほど面白い光景が開けるのである。