千載一遇のチャンス到来 大機小機 |
冷静になってみよう。経済活動はなくならない。必需産業は必ず残る。原始の時代に戻るわけではない。生産設備が健在であり、労働力が供給される限り、経済的な富の生産は続けられ
る。今回の大混乱の原因は金融技術への過信であり、金融政策の過失である。証券化は保険の一種でしかなく、証券化が普及したところで、その対象となった負債自身のデフォルト率の低減はない。サブプライムローンが積み上がり、起きるべくして大量のデフォルトが生じ、その損失に経済が耐えられなくなっただけである。いわば、サブプライムローンを代表とする負債に金融工学という化粧を施し、そこから甘い蜜(みつ)を吸おうとし、あるいは黙認した市場関係者が、化粧の奥の素顔に接して腰を抜かし、惨事が生じたにすぎない。
もちろん、サブプライムローン問題に端を発した金融村の出来事は周囲にも飛び火する。しかし火元と出火原野が特定されているのだから、これからは各国政府の懸命の消火活動にエールを送るしかない。市場に信頼感が戻れば大混乱も収束段階に入る。
ここで考えるべきは、大混乱が収束した後を想定し、いかなる行動を起こすのかである。とりあえずリスクから遠ざかるのか、取捨選択しっつリスクを取るのかである。この点、日本が経験したバブル崩壊と二〇〇三年以降の経済活動の拡大を思い出せばいいだろう。その経験では、混乱の中で動揺しなかった者、将来を見据えてリスクを取った者が多大な利益を得た。
経済が悪化し、相場が下落する過程にこそ大きなチャンスがある。将来に関する日ごろからの綿密な読みと決断力が必要であり、資金力が求められるが、これら三種の神器を備えているのなら、先週の市場は大バーゲンセールと判断できたにちがいない。
個人投資家にとってもチャンス到来である。どの企業に三種の神器が備わっているのかを見極め、株式投資をすればいい。当分、乱高下が続き、見極めの時間が与えられるだろう。(突亥)