豊田泰光氏のコラム 日経より |
マウンドに一人で立ち、野球を支配する投手族は精神構造からして全く違っている。
好投手ほどわがまま、と苦から相場が決まっている。故障を経験している岩隈は完封ペ
ースでも降板して、野村監督を驚かせたようだが、この程度ならかわいいものだ。
大エースも毎回完全試合とはいかないわけで、安打は打たれる。問題は気持ちの切り
替えで、自分以外のところに責任を持っていくのも大事なテクニックなのだろうと思っ
た。天覧試合で巨人の長嶋にサヨナラ本塁打を打たれた阪神の村山が「あれはファウル」
と言い続けたのも、投手族の習性からすれば驚くに値しないようだ。
同点の九回二死満塁、フルカウントの場面でストライクが取れるかとなったときに、
金田さんたちのような神経を持たないと話にならない。