美しい一本って何に? 日経新聞スポーツ欄 |
言葉の端々にのぞく自己主張。若さの勢いもあってか、時にアンチテーゼの響きを含んで鋭さを増す。例えば、柔道の神髄ともいえる二本」をめぐってIL 「一本を取るに越したことはない
けど、勝てなければ何も残らない。それに芸術的な一本とか美しい一本って何ですか。芸術性が大事なら、採点競技でもやっとれと言いたい」
貫徹したのは相手の持ち味を消し去り、反則1つでも勝ちきる柔道。投げることは半ばあきらめていた。それでも勝つ方法はあるとばかりに、気迫と技術と知略を尽くして審判も味方につけた。
術中にはまった井上に「努力やひたむきという言葉に収まりきらない、異常なまでの執念を感じた」と言わせた。
勝利にこだわるリアリスト。「柔道はルールのあるケンカ。北京だって自分の柔道ができてもで
きなくてもいい、金メダルが取れれば」とためらいなく言い切る。昨秋に
100㌔超級に階級を上げてから18連勝、逆転で五輪代表をつかんだ。ただの1度でも負けていた
ら北京はなかった。「認められるには一番になるしかなかった。
学校も2度入ったことで親にお金をいっぱい使わせたし、負けて大阪には帰れなかったから」。転校してから3年間、正月も一人で練習し、一度も実家に帰らなかった。
決勝では、一時批判も出ていたけど、こんな内面を秘めた人だったのですね!