昔読んだ本 「その日のまえに」 |
「神さまは意地悪だから、大切なひとを遠くへ連れ去ってしまう。昨日までの暮らしが、明日からも続くはずだった。それを不意に断ち切る、愛するひとの死-。生と死と、幸せの意味を見つめる連作短編集。『別冊文芸春秋』掲載。」
あまりにも、書評が褒めてあったので、読むことにしました?泣けるとも書いてあったので。
内容は、死をテーマにした、短編の連作集です。
全然違う話ではなく、多少前の話と関連があったりしながら、進んで行きます。
最初は、同級生の死から始まります、死がなんだか分からないけど、人がいなくなってしまう。
中年の男性がガンを告知される話、昔の同級生のところへ足が向いて、昔小学生だったころの昔話をする。
母一人、子一人なのに、その母がガンになってしまう話
本のテーマとなったのが、「その日のまえに」。ガンにおかされて余命を告知されている妻、その妻とその最後の日のことを「その日」と読んで話し合っています。
最後の外出で、二人が新婚の時に住んだ場所に行くことにします、足取りもたどたどしくなる妻ですが、住んでいたアパートは20年後も、幸いなるかな残っていました。
子供たちも微妙に分かって、その日を迎えます、涙がこらえきれなくなる場面です・・・
「その日のあとに」は、亡くなった後日談になりますが、妻の所へ来るダイレクトメールで異なる反応をする息子たち、
昔妻が頼んだけど、抽選に外れた有機栽培の野菜を、今年は夫が頼むはなし
花火大会の企画
最後の看護士が最初に出てくる、優等生だったりと・・・
そして、死ぬ行く人に、手紙を書くように勧めます、その手紙を3ヶ月後に遺族に届けます、
すぐでもいけないし、忘れ去られた頃でもいけないらしい、
そして、その手紙の中に書かれていたのは、たったの一行でした。
どれも日常の中での死がテーマになります。さりげなく淡々と描写しているので、それだけに心に染みてくるものがあります。
いつまでも、生きている訳でない両親、同級生だって順番はあるかもしれないでけど、何れはみんな死んでいく、そんな中でとりまいている家族の重要性、そのなものを感じさせます。