オシム氏の回復を祈る 蓮実重彦さんの随筆より |
当然、ボールも人もよく走るサッガー以上の何かを個々の選手が発見しなければならないり二〇〇八年はその発見の年になるはずだった。
そんなとき、イビチャ・オシム氏倒るの報に接し、ぽうぜんとしている。
私としてはごくまれなことだが、会ったこともない氏の病状を思って、落ちつかない日々を送って
いる。それは、氏が日本代表チームの指導者以上の立場で、身をもってサッカー文化を生きている
ことに感銘を覚えていたからだ。一日も早い回復を祈るといった言葉には尽くしがたい深い思いが
あり、それが氏のもとにとどけばと願うのみである。 (東大名誉教授)