大前研一さんの本 |
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■■選書サマリー
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日本人が心理を動かせば、経済は変わる「心理経済学」を解説。
【1】
わが国は、繁栄するための打ち手に必要な「カネ、土地、人」をす
べて、すでに持っている。まずは「カネ」についてだ。実は、バブ
ル崩壊後も日本人の個人資産は増え続けている。
世界では高齢者になるほど金融資産は目減りしていくが、日本人の
場合は増え続け、死ぬ瞬間に最大になる。日本人は、平均3500万円
もの金融資産を残したまま死んでいくのだ。
ところが、それほど大きな金融資産を持ちながら、日本人の10人に
9人が老後に不安を抱えている。だから、個人資産は動かない。こ
うして、貯まりに貯まった個人金融資産は1500兆円にも達している。
この個人金融資産は、たとえるならば巨大な水ガメだ。この水ガメ
に貯まった水が流れ出せば、世界がこれまでに経験したことのない
ほどインパクトのある経済効果が生まれる。
この水ガメを揺さぶるキーワードは「心理」だ。日本人固有の不安
心理を取り除くことこそが、1500兆円の膨大な水が市場へ流れ出す
引き金になるのだ。