吉田蓑輔さんの私の履歴書 |
記者会見では、私を鍛えてくださった吉田文五郎、桐竹紋十郎の両師匠への感謝の思いと書びの気持ちを述べた後、思わず、こんな言葉が口をついて出た。
働き盛りから逝くまで、ほとんど老け役の人形ばかりを遣っていた父だった。ありし日の姿が次々にまぶたに浮かんできて声が詰まった。
だ先人の至芸にずっと間近に接してきた。叩かれてしごかれ、薫陶を受けた。からまだまだ修業の途上と自覚していた。ノだが、女方{形遣いの第一人者と評価していただいて、私はますます忙
しくなった。(文楽人形遣い)