河瀬監督 パート2 どこからの引用か分からなくなった! |
ーと結婚したが、その後、離婚。慣れ親しんだ奈良から住まいを東京に移したことで、
自分なりの映画を撮れなくなったこともある。「(賞を)取らなければこんなことはな
かった」と思い悩んだことも。奈良に戻り、創作活動に没頭。02年ごろからようやく
“自分”を取り戻したという。
今回の「殯の森」は、10年前の「萌の朱雀」で監督自身がスカウトした尾野真千子
を10年ぶりに主演に抜てき。認知症になる初老の男性に起用したのは、4年前からス
タッフとして河瀬組にかかわる、奈良で古書喫茶を経営している一般人・うだしげき。
監督の長男・光祈(みつき)ちゃん(3つ)のベビーシッター役も務め、まさに“ファ
ミリー”で映画を作り上げた。
その一方で新たなチャレンジもした。作家性が強く、日本ではあまり評価されずに、
資金集めに苦労したが、寺島しのぶと結婚したローラン・グナシアさんの紹介で仏映画
会社セルロイド・ドリームを紹介され、脚本を持ってプロデューサーのエンガメ・パナ
ヒさんに直談判。日仏合作を取り付けた。
生と隣り合わせにある死、それをどう受け入れるか。大きなテーマを自分なりに描い
た。「日本人が誇りにしてきた気持ちを込めて映画を作ってきた。グランプリ受賞で日
本が今、大切にしなければならないことを伝えられた。この地球に生きる人に同じ思い
を伝えたいと思います」と堂々と宣言した。