新庄って、どんな男 ホームページから |
3月25日、まだ雪が残る開幕の朝だった。タクシーで球場へ向かう道中、新庄は運転手からシートへのサインを求められた。「色紙にしかサインしないんだ」と断ると、多くを語らずいったん近くのコンビニに車を止めさせた。店に入り、戻ってきた新庄の言葉に運転手は驚かされた。「運転手さん、ゴメン。色紙なかったよ」。華やかさだけではない。誠実に北海道のファンと向き合った3年間だった。
感動した運転手は「みんな応援してます。来年も再来年も、北海道にいてください」と呼びかけた。しかし、新庄の笑顔が消えた。「悪いけど、それはできないんだ」。引退宣言の約1か月前、すでに心は決まっていた。最後に背中を押したのが、この日と同じ4万3000人のファンで埋まった、スタンドの景色だった