朝日ぎらい 橘 玲著 |
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2018年 08月 13日
ドキッとすること満載ですね。さすがに、橘さん視点が鋭いし、違います、思っていることをズバッと言われています。
なぜ、安倍政権の支持率が高いのか、わかりませんでした、少し、腑に落ちたところがあります。 そうだね・・・気がついてみれば、野党はなんでも反対の昔の社会党に成り下がってしまった感がありますね・・・ <抜書> ・安倍政権はリベラル 森友学園加計学園の問題で失速したとは言え、すべての世論調査において、安倍晋三政権の支持は若い世代で一貫して高い。・・・自民党の支持が突出して高いのは18歳から19歳と20代の男性で、女性の支持率36パーセントは男性43パーセントより低く、若い女性の支持率が特に高いということもない。安倍政権の思想の中核は10代後半から20代の男性なのだ。 ・18歳から29歳では最も保守的なのが公明党、次いで共産党、民進党、自民党は中道、もっともリベラルなのが維新になっている。驚くべきことに、今の若者は共産党を「右派」、維新を「左派」とみなしているのだ。 ・「反知性主義・グローバリズム批判・保守化」というのは、愛煙家による「嫌煙ファシズム」批判と同じで、行き過ぎた「知識社会化・グローバル化・リベラル化」に対するバックラッシュ( 反動) なのだ。 ・近代医学が治療可能な病気を制圧したことで人々の健康寿命が大幅に伸びたが、それによってがんのように治療困難な病気に関心が集まり、人々の不安は逆に高まった。これと同様に、現代社会においてリベラルは勝利したことで敗北しているのだ。 ・安倍政権は旧民主党のコピー 安倍政権がリベラル化する理由は、「右(保守)」にライバルがいないことと、「リベラル」以外に政策の選択肢がないことで説明できる。消費費税増税、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)加盟、原発再稼働などの安倍政権の基本政策は、民主党・野田政権とほとんど同じだ。「 人づくり革命」 で提唱している教育無償化は、高校無償化の延長で、その政治性姿勢はますます民主党に似てきている。 ・日本経済の1番の問題は労働生産性が低いことで、OECD 35カ国中21位、先進7カ国の中ではずっと最下位だ。日本人は過労死するほど働いているが、一人当たりの労働者が生み出す利益(付加価値)は8万2,7707ドル(約834万円)で、アメリカの労働者(12万2,986ドル)の7割以下しかない。 ・近代医学が治療可能な病気を制圧したことで人々の健康寿命は大幅に伸びたが、それによってがんのように治療困難な病気に関心が集まり、人々の不安は逆に高まった。同様に、現代社会においてはリベラルは勝利したことで敗北しているのだ。 ・戦後の「朝日」的なリベラルはずっと、「愛国=軍国主義」を批判してきた。その結果、「 愛国」 はを右翼の独占物になり、 リベラルは「 愛国でないもの」 すなわち「 反日」 のレッテルを貼られることになった。 ここに「 朝日ぎらい」 の大きな理由があることは間違いない。 ・このように考えると、日本の「リベラル」の苦境がわかる。「戦後民主主義」は「愛国」を拒絶してきたために、「愛国リベラル」という世界では当たり前の政治的立場を失ってしまった。その挙句、ネトウヨから「売国奴は黙れ」という攻撃を受けことになるのだが、これに反論するには、「自分たちが愛国者(パトリオット)であり、日本という国を愛しているからこそ(政治や権力を」批判するのだ」と主張しなければならない。このロジックを組み立てることに失敗したのが、日本における「リベラルの衰退」につながっているのだろう。 ・ここからは「リベラル」を以下の3つで定義しよう。 ①道徳の黄金律(己の欲すざるところ、他に施すことなかれ)、②普遍性(ダブルスタンダードの禁止)、③進歩主義(理想社会を目指す運動) ・リベラル化した現代社会ではリベラルへの批判は、「リベラルのくせにリベラルではない」というダブルスタンダードの攻撃になっていく。 ・ヘイトスビーチを禁じられた団体は、普段は「リベラル」を罵倒しているにも関わらず「表現の自由」を掲げて抵抗し、自分たちの「人権」を守らないリベラルのダブルスタンダードを言い立てるのだ。 ・リベラルの根底には「普遍性」がある。これは、「すべての人に対して同じルールが平等に適用されなければならない」ということだ。この原則に反すると「ダブルスタンダード」とみなされ、強い批判を浴びることになる。 ・リベラルの三つ目の定義は「進歩」だ。それは「明日は今日よりずっと良くなる」という希望であり、「人類は理想社会の実現に向かって努力していくべきだ」という信念でもあった。 ・「本人の意志では変えられない『属性』によって潜在能力を発揮できない社会は正義に反している」というリベラルの主張が導かれる。 ・デンマークをはじめとして、オランダやスウェーデン等で「極右」政党が急速に影響力を強めているのは、移民が生活保護に依存するばかりで社会の責任を果たしていないとみなされているからだ。 ・社会的・経済的な不平等が許容できるのは、最も不遇な立場の人の利益が最大化されているときだけだ ・いったん自分をある「党派」にカテゴライズすると、人はそれを容易なことでは変えようとしない。党派性はアイデンティティーに直結し、政治的な見解はいまや社会的な帰属を示す「象徴」なのだ。 ・「安倍一強」の秘密を読み解くこともできる。それは、以下の4つの戦略の組み合わせだ。 ①国際社会では「リベラル」、②若者に対しては「ネオリベ」、③既存の支持層に対しては「保守」、④日本人アイデンティティー主義者に対しては「ネトウヨ」 ・誰も自分の事を嫌いになることができないから、自己批判はとても苦しい作業だ。自分を「不道徳」と断罪した人は、やがてその感情を他者に投影し、あらゆる「差別」を血眼になって探し、相手を批判することで自身の「正義」を証明しようとするだろう。「差別する自分は正しい」と開き直った人はそれを「偽善」と罵り、自己正当化に使えるありとあらゆる理屈(例えば陰謀論)にしがみつくかもしれない。 ・きれいごとはなぜ胡散臭いのか? この問題の本質はどこにあるのだろうか?それは現代社会の価値観と、進化の過程でつくられた(無意識の)感情が常に整合的であるとは限らないことだ。解決困難な社会問題の多くはこの両者の衝突から生じるが、きれいごとによって人々の内面に道徳的に介入すること(善意による説教)は何の解決にもならず、かえって事態を悪化させることだけなのだ。 ・きれいごとをいうひとは、道徳の貯金箱がプラスになったように(無意識に)思っているので、現実には差別的になるのだ。 ・「リベラルな金持ちの白人は実は差別主義者だ」という保守派の定番の批判は、結構痛いところ突いているのだ。 ・トランプは(たぶん)きわめて賢い人物なのだろうが、そのツイッターや暴言を見ればわかるように言語の運用能力は高くない。そして明らかに支配的な性格で、誠実さや協調性はなく、神経症気味で、信仰心が強いとも思えない。その代わり、人生の目的は競争に勝ってヒエラルキーの頂点に立つことだと考えている。これほどわかりやすいSDO(支配的性向)タイプはめったにいない。 ・右派の権威主義者は保守的であると同時に男性中心主義でもある。そんな彼らが、「リベラル」で「知能」が高く「裕福」な「女性」である(すなわちなに一つ共通するもののない)ヒラリー・クリントンを心の底から憎んだのは当然なのだ。 ・生理的免疫システムに限界があることは、腐ったものを食べ続ければすぐ病気になって死んでしまうことから分かる。健康でいるためには、まず腐ったものや汚いもの、すなわち病原菌で汚染されたものを避けなければならない。 ・すなわち道徳的社会では、繊細な良心(高機能の道徳センサー)と高い知能を持つものが、最も効果的に抜け駆けできる。良心が人々を社会のルールに従わせるために内面化されたが、それを仲間を出し抜くために使うこともできるのだ。そう考えれば、リベラルが”知的”で”良心的”な理由が分かるだろう。彼らは高い知能によって「良心」を利己的に使う方法知っているからこそ社会的・経済的に成功し、でだからこそ嫌われるのだ。 ・私はこの10年余り「日本は先進国の皮を被った前近代的身分制社会」だと述べて来た。日本の社会では「正規/非正規」「親会社/子会社」「本社採用/現地採用」などあらゆるところで「身分」な顔を出す。日本ではずっと、男は会社という「イエ」に滅私奉公し、女は家庭という「イエ」で子育てを「専業」にする生き方が正しいとされてきた。 ・「新卒一括採用」世界では日本でしかおこなわれていない。年齢差別で、そこで失敗すると「非正規」という下層身分に落ちてた這い上がることは難しい。子供のいる女性や外国人も同様で、会社に滅私奉公する(男性)正社員とは異なる身分として扱われる。 ・このような差別的慣行を容認しておきながら「自己責任」を主張することは、「日本人・男性・中高年・正社員」という属性を持つ日本社会の主流派の既得権を守ることにしかならない。自己責任を問うならばその前に日本社会に厳然として残る差別をなくすべきだ。 ・2018年1月、 保守思想家の西部邁氏が78歳で自ら生命をたった。 オランダの数学教師は家族や友人に囲まれた華やかなパーティー で人生を終え、 日本の高名な思想家はなぜ家族にも看取られず、 真冬の多摩川で「 溺死」しなければならないのか。 ・日本では相変わらず「 大麻は薬物依存症への入り口」として厳罰に処しているが、欧米先進国にはもはや大麻を所持しただけで刑事罰に課せられる国はなく、アメリカでも2012年のコロラド州に始まって、2018年1月にはカリフォルニア州でも娯楽使用の大麻が合法化された。 ・煙草やアルコールのような依存性の高いドラッグを合法化しておきながら、医学的にはより身体への負荷の少ない大麻を禁止する政策は合理的な説明ができなくなっている。日本がアジアで率先して大麻を解禁すれば、珍しくもないカジノよりずっと大きな観光資源になるだろう。 ・麻薬犯罪と戦い続けたこのグアテマラ大統領は、「今日の中米では、アメリカの麻薬摂取による死亡者よりもずっと多くの人々が、麻薬の密売やそれに伴う暴力で死んでいっている」として、ヒロインやコカインなどハードドラッグを含む全ての麻薬の合法化を求めたのだ。 ・コロンビア大学教授でアメリカの黒人では数少ない心理学心理学教授でもあるカール・ハートによれば、「薬物依存は犯罪を増やす]との定説が疑わしい。 ・ハートは、さらに過激の方向と議論を進める。「多くの人は、コカインなどのハードドラッグを使用しても依存症になることはない」というのだ。 ・ドラッグの害は一般に思われているよりも軽微で、多くの人(約8割)はドラグを使っても依存症にならず、依存症になったとしても心理療法によって治療可能なのだ(実験では適当な介入を受けた被験者の68パーセントが8週間にわたって薬物に手を出さなかった)。 ・こうした理不尽な事態に対して、ハートは「ドラッグの非犯罪化」 を提言する。 ドラッグの売買を罪に問うことがなくなれば、 黒人の若者の多くが収監を免れ、人生を棒にふらなくても良くなるし、社会にとっても将来の犯罪者が大幅に減るという利益を享受できるのだ。 ・リバタリアンは女性の人権を重視するが、それだからこそ売春(セックスワーク)を合法化している。売春は褒められた仕事ではないかもしれないが、自分の体をどのように使うかは個人の自己決定権の範囲なのだから、その職業を選んだ女性たちを法のもとに保護すべきだ。 ・憲法24条は婚姻を「両性の合意のみに基づいて成立」するとしており、同性婚を認めるにはこの条項を改正しなければならないが、これだけでは日本社会の身分制は変わらない。なぜなら戸籍制度が温存されているからだ。 ・戸籍は社会を「イエ」によって管理しようとする世界でも日本にしかない奇妙な制度だ。夫婦別姓や共同親権が認められないのは、「イエには姓はひとつ」で「子はいずれかのイエに属する」とされるされているからだ。 ・リベラルであれば、自衛隊を「国軍」として憲法に明記するように求めるのは当然だ。国家の最大の暴力装置である軍の役割を憲法で規定しない民主国家などありえない。自衛隊の目的を(国体ではなく)国土・国民を守ることと国際協力に限定した上で、軍刑法や軍法会議などの軍事司法も整備すべきだろう(軍司法をのない不安定な軍隊は世界で自衛隊だけだ)。 ・リベラルの失敗は、「自衛隊は憲法違反だ」と叫んでいるうちに憲法改正を右翼・保守派に先取りされたことだ。そその結果、北朝鮮のミサイルが上空を通過するようになって、・・・・・個別自衛権は自然権なので自衛隊は合憲だ(ただし集団的自衛権は認められない)」という苦しい理屈を繰り返さざるをえなくなった。しかしこれでは、「だったらなんでそう書いちゃいけないの」という子供の疑問にもにこたえられないだろう。 ・憲法改正を拒絶するリベラルな憲法学者は、複雑怪奇な理論によって自らの主張を正当化しようとするが、これは「無知な大衆は黙って従え」というエリート主義そのものだ。 ・リベラルとは「better World」「Bettrr Future」を語る思想のはずだ。だがいつの間にか日本の「リベラル」は、憲法にせよ、日本的雇用にせよ(あるいは築地市場の場所まで!)現状を変えることに頑強に反対するようになった。「改革」を否定するのは保守・伝統主義であり、守旧派だろう。これは、「戦後リベラル」を担う層が高齢化して、「何一つ変えない」ことが彼らの利益になったということでもある。 ・本書では詳しく触れられなかったが、私は、これからの政治思想の対立はサイバー空間が舞台になると思っている。その主役は、AI等のテクノロジーによって社会を最適設計しようとする「サイバーリバタリアン」だ。その中でも「自由」を尊重するサイバーリバタリアンかは、個人に「正しい選択」を強制するのではなく、より良い生活習慣にナッジしていくそっとヒジで押す)政策を提言する。 ・社会政策はゲーム理論やビックデータを駆使して「証拠に基づいて」決定し、功利主義的に社会を最適設計すればいいと考えており、シリコンバレーの「サイバーリバタリアン(右派)」に近い。「国家は国民が幸福になるための道具だ」と思っているから、左翼・保守派(ナショナリスト)とは全く話が合わないだろう。 だがそれ以上に、日本で「リベラル」を自称する人たち人とはそりが合わない。それは彼らの主張が間違っているからであり、そのきれいごとが胡散臭いからでもある。ー少なくとも私は、自分の胡散臭さを自覚している。 ・安倍政権を批判する人は「アベノミクスの失敗で格差が拡大した」というが、内閣府の国民生活に関する世論調査では「現在の生活に満足」との回答が73.9パーセント(18から29歳は79.5パーセント)と過去最高になった(2017年)。・・・国民の7割以上が生活に満足している事実を無視するのは公平とは言えない。 ・国連の特別報告者デービット・ケイ氏は、「日本政府がメディアに対して圧力をかけている」、・・・・・「先進国では優れた記者が所属媒体を移る、一種の流動性があるが、日本には存在しない。そのため政府からの圧力が記者にも特別な影響与える」と述べた。日本のマスコミの構造的な問題を指摘したこの会見を記事にしたのは朝日新聞だけで、他のメディアは無視をきめこんでいる。リベラルな報道機関とはこうあるべきだとの見本だが、さらに1歩進んで、問題の所在が分かっているならそれを改革すべきだ。 ・「朝日」はかつては憧れだったが、今は毛嫌いされる対象になってしまった。そこに社会の「右傾化」という要因はあるものの、「憧れ」を失った理由はそれだけではないだろう。重層的な差別である日本的雇用を容認しながら、口先だけで「リベラル」を唱えても、誰も信用しなくなるのは当たり前だ。リベラルリズムを蝕むのは「右(ネトウヨ)」からの攻撃ではなく、自らのダブルスタンダードだ。 ・日本のリベラルにいま必要なのは、保守化した「リベラル高齢者」の既得権を破壊する勇気だ。年金も健康保険も終身雇用も年功序列もなにひとつ変えないまま、若者に夢を与える未来を描くことなどできるはずがない。 ・残念なことに、「朝日的」なるものは今や「リベラル高齢者」「シニアサヨク」の牙城になりつつあるようだ。自分たちの主張が若者に届かないのは、安倍政権の「陰謀」ではない。
by nandemokoukisin
| 2018-08-13 14:33
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