まわり舞台の上で 荒木一郎ロングインタービュー |
空に星があるように」「今夜は踊ろう」「いとしのマックス」など数々のヒットを放ったシンガー・ソングライター、個性派俳優、小説家…。自在に越境する奇才・荒木一郎が、その活動の軌跡と人生の明暗を語る。
面白かったですね、親の七光りで芸能界にデビューして、ちょっと、人気が出たら、
事件を起こしって、才能はあるけど、典型的なバカ息子って思っていたのですが・・・・・
すごい、有り余る才能って感じ
すごいですね、凄すぎる人です
こんな、多才な方とは知りませんでした。
倉本聰さんも、この方にかかると、まだ足りないところがあるって、
演出論、映画論、その他・・・
考え方も、すごくユニークで、かつ、人生を見通しているというか、感動に近いですね。
機会があったら、読んで欲しいけど、500ページもある(笑)
<抜書>
・「このやり方がダメだ」と思って、そういう中で常に勉強させられるわけだよ。物を与えてみるとか、いろいろやってみたけど、でも、最終的に残るのは企画力だった。
・日本では、人間っていう部分を、どこかを疎かにしちゃってるんだよ。特に、どんどんどんどんどん、そうなっていっちゃってるだろ。そうじゃなくて、一本の映画で、人に生きてることの楽しさとか価値観とか、そういうものを感じさせる。それが映画じゃないかなっていうふうに思うよね。
・どんなシリアスの中にも笑があるっていうのが好きだし、できたらやっぱり、ペーソスが欲しい。人間ぽさと笑いっていうのはつながっているでしょ。
・いろいろ葛藤があって、普通の人間だと流されてダメになっちゃう思うけど、こっち側ガ自分の主張すごく強く持っているから確立されていく。がんじがらめの形があるところに入っていくから、全部壊すぐらいにやらないと、うまくいかないみたいなところがあるよね。自分は壊す役割を果たしたと思いますよ。
・「ああ、よかったな。役に立ってる」ってふうに思うじゃん。それがいちばん、音楽を作る醍醐味じゃないのかな。その人の人生が豊かになければ、良い方向に行っていれば、こんなにありがたいことは無いんじゃないですか 。
・だから、それでお金を儲けようとかいうことが一切ない。作れば、人が喜んでくれたり、感動してくれたりするわけで、それが音楽でしょう。
・ホサれたときに、「日本の損失だ」って言ったんですよね。「おれが天から預かったものを、どうして止めるのか」って。才能とはなんぞやが全然わかってない。
・自分の人間的なもの、生きてきた軌跡みたいなものっていいのかな。それが次の芝居に出るだろうと思っているから。そういう機会を与えてもらえるなら、それを自分でも見て見たいと思う。だから、普段の生活そのものがすべての勉強になっているていったらいいんだろうね。
・人は皆どこかで神経症を病んでいるな、っていう、完全にゼロみたいな人はまずいない。そういう風に人を見ると見るし、だから、人に対するいたわりみたいなものはすごく強くなったよね、自分がそういうものを持っているために。不思議だよね、そういう枷をくれるっていうのが。才能っていうの言うのものを、なんかこう、二つに分けられているみたいな感じで、すごく変な感じ。そういう才能くれるんだったら、自由にしてくれればいいのになって思うけど、「ダメですよ」って言いながら、才能くれている感じなのね。
・芸は身を助けるって言うけどね、実際、人のつながりが全てじゃないないかな、人生は。いつもそう思ってるけどね。いろんな人に、感謝してますよ。
・やっぱりある時から役者って言うものに対する意欲とか、そういうものをしゃべりだす。だから、やっぱり人間は、そうやって何かだってだんだん変わるんだなって。
・桃井かおりを自分がプロデュースしてマネージメントをやったことが、すごく勉強になったよ。その後に、他のものを成功させられる要因になってるよね。修行させてもらってるみたいなもんで。そういう意味ではすごく感謝している。いつもそうだけど、人との付き合いっていうのは、必ずいろんなものが勉強になることが多いし、難しければ難しいほど、必ず得るものは大きいわけだから、難しいからって逃げちゃうと、もう何も生まれなくなっちゃう。
・優作がどうって言うよりも、日本ていう国のお芝居はそういうことなんじゃないかなっていうふうに思うよね。うまいと言われても、やっぱりテレビ的芝居でしかないんじゃないかっていう。
・例えば、桃井かおりのことをやることによって、自分の中に、何か学んでいるはずじゃない。でもそれが何だかわからないよね。そうやって人がやらないことに挑戦して、「なんでそこまでやる?」みたいなことをやっていて。だから、ずっと役者をやらないでいたとしても、ある日役者をやったら、この修行は何かになってるんじゃないかと思うじゃない?それを見てみたい。役者をやらせてもらえると、今ま別の経験をやってたことが必ず芝居とか雰囲気でるから、そういう自分を、福袋を開くみたいな形で見てみたいなと思う。
・だから前の芝居を見ると、かったるい感じがするんだよね。自分が少しでも進歩しているわけだから。過去のを見ると「なんだよ」と思っちゃうことがある。
・自分が出たところはやっぱり責任を持ちたいっていうのはあって、それはもう役者の問題で、脚本がつまらないとか演出がつまらないって言うのは言い訳でしかない。だからやっぱり役者には、タレントになりたい、スターになりたいって言う事とは全然違うものがあるわけだよね。
・産んで良かったなと思わせたいな、と言うのはずいぶん考えてましたね。ある程度は、思ってくれたんじゃないかなって…。ですから、後悔はしてませんね、自分としてはね。
・とにかく、誰もが、日本のエンターテイメントはなくなってるっていうことに、もっとちゃんとした声明文を出さなきゃいけない。AKB48みたいなものが、前に出ちゃってるって以上は、もう日本はダメだろうなと思うもんね。あんなものが肯定されるわけがないから、本当は。なぜあそこまで肯定されるのだのか、だよね。まったく、やってはいけないことをやっているわけ芸とか芸術ってものを完全にバカにしてるわけじゃないか。制作したものの価値ではなく、営業の力によって売れていくだけだから、1人20枚とか30枚とか買わせるだけで、曲が良くて売れているわけじゃないんだもん。それがベストテンに入って、レコード大賞まで行っちゃうんだよ。そんなのあるわけないじゃん。
・タヌキならタヌキのことを、「人間側から見るな」って言うことを常に言ってるわけだよ。タヌキから見たときに、「こうだろう」で考えてみるわけだよね。つっていうか考えるっていうよりも、感覚的にそういう感じになるんだよ。やっぱりタヌキ側の気持ちだとか猫側の気持ちにすっと入ってちゃうんだよね。
・基本的には、エゴイストなんだよ俺は。どっちかって言うと不良っぽい形で生きてきてるし、日本人だからね、自己中心的な部分からものを見てるんだよ、全部。だから、偽善的な人間とか、聖人君子みたいなのは、成りたくないし嫌なんだよね。
・ただ、自分に利するように考えて、それを突き詰めていくと、人のために考えてる方が、自分が得するってことがわかってくる。同じエゴイスティックでも、考えない奴、突き詰めないやつは、ただの自己中心的な人間のままで、自分に利するつもりで行動して、結果的には自分が損してしまうんだ。頭がいいか、悪いかの違いとも言えるね。
・だから、自分が自分らしく生きるためには、とにかく人の役に立つ人間になろうとすること。その方向でものを進めていくんだ。そのほうが楽しいし、人生面白いってことですね。
・今だと、もう与えられる場所がいっぱいあって、どこ行っても与えてくれるから。だけど、与えられてないことの中からクリエイトするって言うのかね、やっぱりそれが一番大事だと思うんだけどね。あまりにも与えられすぎてるんじゃないかなあって、今思う。もったいない感じがする。
・その猫がいたことをさ、俺が曲を書くことによって存在させちゃおうっていう、そういう考え方があるわけだよね。だから、人っていうものをいつも見てて、やっぱり、その人はそのまま死んでいくわけだけど、何かで自分が加わること、関わることによって、その人の存在があったというね、なんか、そういうことができる。それが、自分の一つの使命なんだ。なんでもない人でもそうなの。だから、日常の遊びの中にも常にそれがあって、その人の中で何か残せないかなって。その人と一緒にやることによって、その人が生きるとか、そういうことが好きなんだよな。だからなんかその、俗っぽく言えば、人の役に立つみたいな形になるわけだけど。
・小説と言う媒体を使って人を生かせないだろうかって言う、そういうのはある。あるいは考え方でもいいね。この考え方がここにあるんだっていうものを生かせないか。人の交流の中でこういう考え方が存在するっていうさ。ここにこういうものがあるよって言う事を渡すことによって、何かにならないかなっていうのは既にありますよね。自分が、っていうよりも、やはり自分が見たものを渡したい。・・・・うまいケーキがあるとか、うまい食事があったら、「これを食べさせたいな」って言うのと似てるかな。
・いつも言ってるんだけどね、人に好かれることよりも、人を好きになることの方が大事だって言うね。人を好きになると言う機能を自分が持っているわけだし、それは人間としてすごいことだから、人を好きになる。なったら、そのために自分は何を努力するかで。好きだから、どんどん努力できるわけだしね。好きになってることは、すごくラッキーだと思えと、よく人に言ってる。
・だから、嫉妬って言うよりも、基本的には人間のプログラムっていうのは、わかりやすく言えば、人間が幸せになるために作られている。本能ってやつをプログラムとして見るわけだけど、もう昔からそうなんだよね。だから、自分を害する本能は存在してないっていうふうにな考え方。つまり嫉妬と言うものが自分や人を害する形であるなら、その本能の使い方が間違ってるっていうのが俺の感覚なの。
・人間の本能は、さっき言ったみたいに、ちゃんと見てるみると、やっぱり自己実現的なもの、自己実現のベースっていうのは常に人に利するって言うことだよね。だから、自分と言うものをちゃんとやりたかったよ、自分が人に役に立つ存在になればいいって言う事は、いろんな人に言ってるけれども。だから、人に嫉妬することじゃなくて、自分はそれ以上になればいいんだって。嫉妬の感覚がもしあるんであれば、そこは自分が磨く時だろうっていう、そういう考え方があるわけ。それができないんだったら譲れっていうさ、なんか、そんなのが自分の中にあるよね。
・だから映画が衰退するっていうのは、そういう日本人気質にあるわけで、人から学ぼうとしないっていう事は言うのはどうしようもないよね、これは。一番面白いとこなのになぁって思うんだ。学ぶっていうのは感動じゃん、ある部分。こんなのあるんだって言うね。そういうものを、なんか日本人は失ってる感じがするね。うん。
・そうだね、日々感動みたいなね。人間が生きていて一番面白いのは、感動することだから。感動がない人生なんて、全然面白くもなんともない。自分から感動を捨てていってる感じがするね。だから映画なんか見てても、やっぱり感動します、いろんな部分で。