眩(くらら) 朝井まかて著 |
甥の時太郎が、本当に、子供の頃から、親父さんを苦しめ、栄(主人公)も巻き込まれます。
親父さんには、叶わぬものの、手伝いながら、精進を重ね、自分の描きたいものを書こうと模索しながら、
善次郎のふとした、一言、が契機になったり
西洋画に接したことも生かしながら、自分なりの画風を極めて行く物語です。
<抜書>
・つまり、彩色の最後の一筆まで描いているてことだ。お栄さんは手伝っているんじゃなくて、やはり描いているんですよ、己自身の腕で
・絵をテーマにしながら、話が進みます
夜桜美人図
三曲合奏図
富士越龍図
吉原格子先之図等
・目を閉じ、もう一度、吉原の夜景を思い返す。あの束の間の美しさをいかに写すか、それだけに気を集めた。
・でももう潮時だ。安穏な日々から出立するなら、今しかない。もう六十かもしれないが、先々の私から見たら、今日のあたしがいっち若いじゃないか。
さあ、行くよと、お栄は光る草の中を踏み出した。