20年後、自営労働中心に 未来の働き方変わるのですか?神戸大教授大内伸哉さん(52) |
人は、何から収入を得られるようになるだろう、やはり、半農半Xや自営業というのは、ポイントになるだろうと思われます。
−正社員は年功序列型貧金のもと、同じ会社で長く働くことが一般的でした。この働き方が変わると主張されています。
「グローバルな競争が激しくなり、大企業も正社員の雇用や賃金をずっと保証することは難しくなってきている。特定の企業に入ってそこで幸福を追求する図式は、近い将来あっと言う間に崩れるのではないか
「人工知能(AI)やロボットが仕事を奪い、産業そのものを変えていく。受験秀才の分析能力や暗記力は、コンピューターにはかなわない。肉体労働も人間並みの動きをするロボットとられる。10歳の人が20歳になるときには、今ある仕事の半分がなくなっているとも言われている」
ー機械が人間の仕事を本当に奪うのでしょうか。
「これまでも情報通信やマイクロエレクトロニクスの発達で、仕事が奪われると言われてきた。だが、新しい産業が出てきたこともあって、全体的に見ると雇用が大きく失われることはなかった。今回は技術の発進がものすごく早く、新しい産業に移るといった対応ができない可能性がある」
‐人間の活躍の場はどこにあるのでしょう。
「20年後に重要になるのは自営労働者だと思う。自宅で仕事の発注を受けるような働き方が、中心になるのではないか。例えば、ウェプシステムを開発する会社は世界中にネツトを通じて発注して、一番いい条件を出したところと契約する。作り手も日本にいながら世界中と契約を結べる」
−個人が企業を相手にすると、安く買いたたかれてしまう懸念があります。
「自営業は本人の能力が全てだ。能力が優れておらず、同業者がたくさんいれぱ買いたたかれてしまうこともある。将来の産業社会がどうなり、どのような仕事が生き残っているか。政府は必要な情報を分析して提供していく必要がある」
−働く人たちを守る枠組みも、変えていく必要がありそうです。
「労働法は、産業革命後に工場で大量の人が単純労働をやらされるようになり、従属的な労働者を保護するためにできた。今の法律の枠組みでは、自営業者は一般の労働者のように雇用主から指揮命令を受けることがないため、労働法の対象外になっている。自営業者が失敗しても、自己責任とされてしまう」
自営業者が今後の経済で重要な役割を担うなら、国民経済的な観点からサポートする必要がある。経済政策として、支援を打ち出していけばいい」
ー労働者のために国が取り組むべきことは。
「教育訓練で労働者の生産性を高めていかなけれぱならない。従属的に働くのではなく、自分の力で戦えるような人をもっと育てていく。それは理想で、簡単ではないことは承知しているが、方向性としてはそうせざるを得ない」(山村哲史)
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野村総合研究所は、10〜20年後に日本の労働人口の約49%の仕事が、人工知能やロボットに奪われる可能性があるとの推計を昨年12月発表した。英オックスフォード大のオズポーン准教授、フレイ博士との共同研究で、国内の601種類の職業を分析した。スーパーの店員、タクシーや電車転手、建設作業員など代替されやすい100種類の職業も挙げている。
データ分析や規則的な操作などは、置き換えられる可能性が高い。同じ手法で試算
すると、米国は47%、英国は35%だった。抽象的な概念をつくりだす知識や他人との協調が求められる仕事は、代替が難しいという。芸術家や医師、教員や介護職員などがあてはまるとしている。