経済成長は必要か? |
成長、つまり国内総生産(GDP)で計る経済活動の規模は、通常なら年数%ずつ大きくなるのが、近代のいわぱ常識だった。水野さんによれば、17世紀に始まった西洋型資本主義は、フロンティア(辺境)とコネクション(募集)が不可欠だった。欧州諸国は米新大陸やアジア、アフリカのフロンティアを発見。石油ほか自然資源を安く調達し、自国の工業製品を高く売りつけ、富を蒐集してきた。
投資によって、単なる紙幣を増殖させさら資本へと転化するのが資本主義の基本設計だ。
「しかし辺境は必ず消滅し、蒐集は必ず過剰になる。BRICSなど新興国が成長した現在、辺境はなくなり、蒐集によるカネ余りで、先進国の投資機会はなくなっている」
1997年以降、日本は世界に先駆け、長期金利が2%を切る超低金利時代に突入した。「利子率革命というべき異常事態で、世界史の中でも3回しか起きていない」と水野さんは語る。「日本の低成長を、好況・不況の単なる景気循環だと理解すると、歴史を見誤る。むしろ、成長がなくても幸福で活力ある社会をどうやって築くかが問われている」
ライターの鶴見済さんは消費社会に背を向けるようになって10年近くになる。新商品チェックをやめ、極力自転車で移動、友人と畑を耕し、余った野菜は近所の知人にあげたり、かわりになにかをもらったり。
「人は、経済のため、成長のためと言われると、思考停止してしまう」。そんな疑問から昨年、「脱資本主義宣言」を出版した。「半農半Xでも、リサイクルやシェアが中心の贈与経済でもいい。国や地域や人によって、市場とは別のつきあいの場、界隈をそれぞれが作れればいい」
「成長なき社会」とは、いったいどんな社会なのか。移動も活気もない、ヨーロッパ中世の暗黒時代?
水野さんはその見取り図を「労働時間短縮とワークシェア」とゆるくイメージ。中野さんは「低成長で雇用が確保できるのか。うまく想像できない」。鶴見さんは「「成長はないが幸せな社会とはこんな社会」と明示できないことこそがむしろ重要。共産主義じゃないんだから」と話した。
「ユートピアを構想する者は、そのユートピアでの独裁者だ」。そう語ったのは、20世紀を代表する政治思想家ハンナ・アフレントだった。
なにか水野さんが言っているのが当を得ているように思えます。そして、鶴見さんの明示できないのが重要というのがわかるような分からないような・・・それぞれ、違うというのか!!