機動戦士ガンダム 生きる地球は有限 、時代の常識を疑え、人のありようが鍵 |
「孫の顔を見ていても、『この子たちの子どもたちがずっと続くなら、自分は納得して死ねるが、孫の代で地球のエネルギーが枯渇して人類が死に絶えるようなことがあったら死んでも死にきれない』と思う。だが、今の日本社会で出てくる言葉の多くは、自分自身の老後の幸せを求める声です。そんなことはもう、世の中が動く基準ではないことを分かってほしい。私たちは世界70億人の1人に過ぎないのです」
「なぜ少子化対策の担当大臣が必要なのか、分からない。地球の有限性を考えれば少子化の方が絶対に望ましい。世界人口が10分の1になっても人類は存続できる。たかだか数百年前はその程度の人口でした」
「尖閣諸島の問題ひとつとっても、これから1万年人類が存続していこうとすれば、海域の資源は周辺諸国が共同で長期的に管理運用していくしかない。各国が覇権主義的に資源を抱え込みたい気持ちは分かるが、戦争になれば資源のさらなる無駄な消費が起こるだけです」
「人類史は戦争の歴史と言われる。20世紀までは確かにそうだった。だが、現在の地球の人口増とエネルギー消費を考えれば、国家間の戦争で問題を解決できる時代はとっくに過ぎている。それがなぜ、新たなコモンセンスにならないのか」
「右肩上がりの資本主義というコモンセンスに染まった頭で考えると破滅論しか見えないかもしれないが、そうではないのありようも確実にある。例えば、江戸時代末期から明治期に日本を肪れた外国人の見聞録を集めた、逝きし世の面影」という本を読むと、当時の日本人がいかに明るくいい顔をしていて、外国人にも屈託なく接していたかがよく分かる。大人の中に子どもがいる、という印象。そんな風に振る舞われると、外国人も警戒心を抱けない。ほぱ自給自足のシステムをつくり、社交的で幸せ人々を育んだ江戸時代の日本は、かなり参考にしなくてはいけない。そう恩えます」(聞き手・太田啓之)