独立国家のつくりかた 坂口恭平著 PartⅡ |
・2011年5月10日 新政府誕生
つまり現在は無政府状態なのである。政府がないのはまずいから、僕のほうで一つつくってみようとしたまでだ。新政府活動は「藝術」と呼ぶことにした。
モデルとしての路上生活
・「経済」とは語源に逆上れば「どうやって家計をやりくりするか」「住まいはどういうものなのか」「僕が住むここでの共同体とはいかにあるべきか」を考え、実践する行為のことを指すのである。言い換えれば、それは社会を変えようとする行為のことだ。社会を変えるという行為、それは僕は芸術と呼ぶ。
・必要とされること、それこそが生きのびるための技術なのだ。必要な人というのは、別に何か専門的な技術を持っているかどうかは関係ない。それよりも一緒にいたいと思う人のことを指す
・時々子供がヘマをすることもあるが、それはただむかつくことではない。それより共同体に豊かな笑いを提供するのだ。
・彼は毎日、自動販売機に手を突っ込む。それで毎日、決まって500円稼げるそうだ。酒もタバコも乞食はやってはいけない、人生は酩酊してはいけないという信条に従って嗜好品すら興味のない彼であるが、なんとコカ・コーラだけはやめられないという。
・態度経済というのは、通貨のような物質によって何かを交換するのではない。交換でなく交易するものだ。つまりそこに人間の感情や知性などの「態度」が交じっていることが重要だ。
・交易をするには、インターネットだけで行動してもダメだ、交易には人間の身体が必須なのである。
・引きこもりの人は独自のレイヤーを発しているのに、多層性が認められない社会が硬直している。硬直した社会をどうしたら、柔らかく出来るか、考える社会。新政府は徹底的に「考える革命」をおこしたい。
・日本では有名じゃないとなんでもうまくいかないが、欧州では逆に無名のちょっと刺激的な人間の方が重宝されることを知った。
・人間というものは分かり合えない。だから「空気」を読むわけだ。社会システムような匿名化してレイヤーは、「空気」のようにみんなが吸えるものがないと破綻してしまう。独自レイヤーは真空だ。無重力でどこでもジャンプし、交易ができる。
・僕は僕であればいいのだ。それは仕事にすることを試みる。これこそが態度経済の基本理念である。自分自身になるという試みなのだ。
・僕は人生はやり直すことができないと思っている。だからこそ、今、本当に何をやるのかが問われている。この緊張する現場で、どんな行動をするのか。まわりに同調せず、徹底した独立者でいられるか。
・自分のやりたいことなんてどうでもいい
だからやりたいことじゃない。若い人には、まずそこを分かってほしい。
・何か疑問を持ったらチャンスだ。そこから「問い」にまで持ってい。
匿名の社会が、匿名化したシステムを構築している。それは誰がつくったかと言うと、僕達の無意識だ。
・「生きるとは死ねないこと」死ねない環境をつくる。これが「生きる」ということだ。
・僕は断定する。それは違うとよく人は言う。いやいや、それが問題じゃないのだ。何を断定するのか、それがその人間の責任なんだ、その断定が、思考なんだ。それが個人で生きることの責任なんだ。
・僕にとって、才能というものは秀でているものではない。才能とは、自分がこの社会に対して純粋に関わることが出来る部分のことを指す。才能は音色を持っている。そのような音色が集まり、交易することが経済なのだ。
・社会を変えるという、人間いとって一番重要なこと以外はできるだけ楽をしよう。
・日本各地に日本国憲法第25条を守った安全地帯をつくる。これが僕の目的だ。どういうことかと言うと、お金がなくとも生きのびることができる生活圏をつくるということだ。〇円でも生きられる家を公共建築として設計する。僕は、この場所のことを経済特区ならぬ「〇円特区」と呼ぶことにした。
・35年ローンをほとんど強要するような労働環境は、まるで奴隷制度である。そんな馬鹿な話しがあるのだろうか。生きるという行為を勘違いしている。
・〇円特区では基本的なエネルギーを12ボルトにしたい。もちろん個人の自由なので、100ボルトがいいという人はそれでもいい。でも、12ボルトの便利さを知ったら、だれも電気代を払ってまで100ボルトにする人はいなくなるだろう。
・独立国家のつくりかた
それは考えるということ。
それは、
「生きるとは何か?」
を恥ずかしがらずに真剣に考えることだ。
思考しよう。そして、社会を拡張しよう。
僕は、恐れても恐れず、ただひたすら思考し、生を全うしたい。
それが僕の使命なのだ。
独特の感性から、紡ぎ出される、数々の思考は、恐れ入ります。
でも、なにか希望が湧いてくる気がします。今のシステムがたとえ壊れて、なんとか生きて行けそうな気がしてくるから不思議です。
とにかく、12ボルトは実践してみたいです!将来、小さな小屋に住んで、12ボルトで自給してみたいと思います。