桜木紫乃さんの短篇集 起終点駅ーターミナル |
最後に、希望があるのかないのか、多少の望みがあるかなぐらいです。
でも、何か、次も読みたいなと思わせてくれる、不思議な作家です。
「たたかいにやぶれて咲けよ」 地方では有名な女流歌人を題材の短編
・「結婚もしなかったし子どもいない。そのおかげで手にいれたものもたくさんあるのよ。まだ二十代ではわからないでしょうけど。だいたい、やりたいようにやって生きてきたくせに、終わりだけ人まかせなんて、格好わるいじゃないの」
・「名を成した人間は、必ず死ぬと喜ぶ人間がいるものだ」
・「ひとがそれぞれの想いを守り合うと、もめごとなんか起きないの。あの三人から、わたしはそういうことを学んだと思います。」
「潮風の家」
・昨日まで元気だったろ人が今日はこの世から消えていたりする。父も弟もそうだった。・・「そのとき」が年齢によるものだけではないこともわかってくる。
・「なんたっていちばんは国会中継だべな。あいつらのお国のことなんぞこれっぱしも考えてないべ。酔っぱらった漁師の喧嘩のほうが、なんぼかましな言い分あるわ」
・「そうそう、いつも言っているでしょう、生きて楽しんでなんぼ。生きてる人間がいちばん怖いし面白いの。死んだ先見て帰ってきた人いないんだからさ」
・自分もたみこもあとはただ、ぽつりといなくなればいいのだろう。
「スクラップ・ロード」
・「あたしたちってもう、死にそうな人間を見ても、多分助けようなんてことは考えないんだ。見て見ぬふりをしてあげたほうが、親切だってこと知っているから」
等々、寂しい話が多いです、しかし、これが寂しいなら、だれもが味あう道かもしれません。