僕は「正解主義」と闘う オヤジの背中では教えられないこと 藤原和博さん |
本来、正解なんてあるわけがないのです。みんなにとって正しいことが一つあると同じ方向に努力できた時代には、疑いも持たず、自動的に素直な吸収力を発揮すれば成功のルートに乗れた,記憶力が良くて、頭の回転が速い人を優秀なやつだと言っていましたよね。受験や就職で勝ち抜いてこられたのは、この能力でした。
僕が今、変えたいと思って闘っているのはこの「正解主義」、それから「前例主義」「事なかれ主義」の三点セットです,これが教育界に蔓延しているので何とか崩したいのですが、そこに共通しているのは、自分の頭と心で考えないこと、ではないでしょうか。
日本の3・11、東日本大震災,日本人の心に深く突き刺さっています。教育の世界では、岩手県釜石市の小中学校の児童生徒ほとんどが、津波の被害を逃れて生存した「釜石の奇跡」が、大きな教訓を残してくれました。避難状況が全く従来とは違う、ニュースにもなった「津波てんでんこ」ですが、逃げる時は、一人ひとり自分で考えて自分の命を救えと教えていたのです。
「津波てんでんこ」は、それぞれの人に、それぞれが自力で納得できる道を追うことを教えました。これは、成長社会から成熟社会へと変化した本質の一端を見せてくれています。