文楽も一度見てみたいものですね、対談より |
住大夫 そう。な〜んにも感じない人形遣いもいまっせ(笑い)。住大夫襲名公演で、簑助君の師匠の桐竹紋十郎師匠が舞台袖の帳幕をさっと上げた瞬間、「気」が殺到してきたのを覚えてます。
竹下 師匠の語りは素人の私にも言葉がよく聞こえる、昔の大阪弁もすごく分かるんです。あんなに何役も演じられて、台詞もあればト書きも地の文もある、すごいです。
住大夫 登場人物になり切る一歩手前で転換する。声ではなくて息で切り替えるんです。
司会 息で語るというのは実演していただかないと分かりません。
住大夫 義理が絡んで切腹した平作が最期に「なむまいだ(南熊阿弥陀仏)」を唱えるんですが、声に出すと哀れが出まへん。(吐く息だけで「あ−ぁ、ぁ−」と語る)
竹下 わあ、「なむまいだ」に聞こえます。でも公演ではマイクなしですね。
住大夫 深呼吸が大事なんです。大きく息を吸って、腰と下腹にぐっと力を入れて吐く息で言葉にすると情感が伝わります。
竹下 私たちも息とか問台いが大切と言われます。
住大夫 文章と文章の間の空間。字がないところが大事でんなあ。
竹下 若い頃、台本には気持ちは書いていないぞ、とよく言われました。
なるほど奥が深いですね!