宮台真司さん「終りなき日常」 「便利」「快適」、幸福得られない |
「社会のスタイルを『統制と依存』から『自治と参加』へ切り替えていくことです。日本では17世紀(江戸期)以降、お上による統制とシステムヘの依存が社会統治のモチーフでした。そこから脱し、共同体自治を進めるしかない」
「よい先例は欧州のスローフードの理念です。顔の見える範囲に向けて作るから、農家は悪いことができない。生産者の手数が見えるから、消費者はスーパーより高くても買う。近接性が倫理を担保
するこのメカニズムを保とうとする、住民たちの自覚的な動き。食の共同体自治です」
ー「まったりする」ことに比べ、難しいハードルに思えます。「困難ですが、やっていくしかない。『終わりなき日常』的な現実の中で幸せになるのは、すごく難しいことなのだと思います」
「はっきりしているのは、依存していても便利や快適は得られるけれど、便利や快適がどれだけ増えても幸福と尊厳は得られないこと。幸福と尊厳は、自分たちが自分たちをコントロールしている感
覚が得られて初めて獲得できるものです」 (聞き手・塩倉裕)