政局の国ニッポン 朝日新聞論説室から |
日本の役所なら、業界をおもんぱかった発言を聞くことが少なくない。長官は元々は研究者だったが、公募に応じて選ばれたという。
ヨーテボリ大学博士課程で学ぶ佐藤吉宗さんは「政官界で政策通が力を持ち、ポストに応じて、法律だけではなく、経済や理系の専門家も責任者に選ばれている」と言う。
政党政治が根づき、一院制であることも背景にあるのだろう。総選挙で決着がついた後、各政党は3、4年後の次の総選挙までの間、最善の政策は何かと冷静に論議できる。
北欧の国々の政策を紹介すると、「確かに立派な政策だが、人口が1千万人いない小国だからできるのだろう。人口の多い日本では難しいのでは」との質問がよく寄せられる。
そうかなとも思うが、それだけでは説明できない点もある。国会のねじれ状況が続く中で、日本は年がら年中、政局で騒がしい国になってしまったようだ。
人口が多いからではない。政局より政策に目を向ける気風と、それを支える仕組みが弱いことこそが日本の問題だと思う。 〈脇阪紀行〉