小宮山 宏さんの楽観論? |
「私自身、「何重にも安全策をとっている』という専門家の話を信じこきたところがあります。でも福島第一原発の事故を見て、非常用電源が二っあっても二重の安全策ではなかりたことがわかりました。津波を想定したら、一つは山の上に置き、もう一つは風力と電池でつくるなり、位置と種類を変えてこそ、多重安全というべきでしょう。分野の違ら科学技術の人だちと、もっと協力していたらと思います」
ー原子力発電は20世紀の科学技術が生んだ巨大システムです。私たちは科学技術によって大きな恩恵を受けてきましたが、いま、その科学技術が生んだ原発によって災禍を受けようとしています。この状況をどう見ますか。
「私は楽観しています。あらゆる科学技術にはライト・アンド・シャドー、「光と影』があります。例えばペニシリンの発見と実用化によってたくさんの人命が救われましたが、一方で抗生物質がきかない耐性菌が大量に出てきた。これを人間はコントロールできるのか。科学技術にはそういう問題が常にあります」
ー科学が生んでしまった暴走を、科学は押さえ込むことができるでしょうか。科学技術の眼界が見え
てきたのでしょうか。
「う〜ん、その結論は、まだ早いんじゃないかな。確かに今回の事故は放射線の影響もあって、かなり敵しい事態です。でも私は、たとえどんなに困難に見えても、問題そのもを明確に、具体的につかめれば、我々は答えを出せると考えています。具体的にすればするほど、これまで人間は、科学は、問題を解決してきましたから」
―でも、我々はコントロール不能の、ある種の化け物、怪物をつくりだしてしまったように思います
「そんなふうに考える必要はありません。時間はかかりますが、私は押さえ込めると思っています。」
「この国はゼロからの議論、大人がする議論、具体的な根拠に基づく議論がなさすぎる。今回は絶好の機会です。温暖化対策は合意がひとまず出来たわけですから。今度は本気で原発を、原子力の利用を続けるかどうか、徹底的に議論する。原子力の専門家だけでなく、一般の科学技術の専門家を入れること。その作業こそが、日本にとって一番プラスになると思います」
ー取材を終えて
ドイツの劇作家ブレヒトは「科学の目的は無限の知恵への扉を開くことではなく、過ちの可能性を有限にすることだ」と書いている。ここを学びたい。過ちの可能性をゼロにすることにも知的エネルギーを費やしてほしい。(原子力)村社会なんて、とんでもない。
とにかく、安定した形にするのが、先決だと思いますが、
こうなったことへの検証は必要でしょうね。