中小企業の見方 |
まず中小企業の定義を見ていこう。業界により多少の違いはあるが、社員数(この場合は正社員)が300人以下の会社を意味する。それを少なくとも以下のグループに分けたい。
(1)社員数が30人以下で、創業10年以内
(2)社員数が30人以下で、創業10年以上
(3)社員数が30~150人で、創業が10年以内
(4)社員数が30~150人で、創業が10年以上
(5)社員数が150人~300人で、創業が15年以内
(6)社員数が150人~300人で、創業が15年以上
●「なんとなく株式会社」と「そこそこの会社」
新卒の学生にとって問題は、(3)と(4)ではないか。私は、これらの会社を「なんとなく株式会社」と呼んでいる。役員会の下に経理や総務、営業などがあり、それぞれの役割や責任体制が整っている。そして体制ができあがり、なんとなく会社っぽく見えるのだ。だから、新卒は「ここがいい!」と思い込み、エントリーしてしまうことがある。
しかし、会社とは名ばかりという面があることも否定できない。経営者以下、社員の意識がついていかないのだ。例えば、社長は管理職を信用していない。どこか疑心が強い人が目立つ。だから、「こうしろ、ああしろ」と介入する。管理職はそれに不満を感じたり、おびえて部下にも厳しくは言わない。中堅企業(社員数300人~800人ほど)以上の管理職に比べて課長が自信を持っていないのが、このクラスの特徴である。…
仕切らないと気がすまない社長が、その問題の諸悪の根源と私には思える。
このような体制では、一定のスピードで仕事を消化していくことができない。もちろん、1つの部署での社員間の情報や意識、目標の共有はなかなかできない。また、社員の職務遂行能力も大企業の同世代と比べると、2~3ランクは低い。20代前半でありながら1人ですべてを判断し、仕事をしている人すらいる。その質は決して高くはない。私にはこれは「自主性」という言葉を上司も部下もはき違えているように見える。しかし、そのような問題を提起する人は少ない。
ただし、(3)のように創業10年以内であれば救いようがある。上場を目指すベンチャー企業は、このクラスに入ることが多い。ほとんどのベンチャー企業は売り上げが伸び悩み、名もなき中小企業で終わっていく。だが、一部に社員数150~300人にまで拡大していく企業がある。新卒の人が行くならばこのような会社がいいのかもしれない。例えば、4~5年前に私がよく出入りしたライトアップ(本社:渋谷)やテレウェイブ(本社:新宿)、アイレップ(本社:渋谷)などは当時、業績の面でキレイな上昇気流を描いていた。いずれもIT系ベンチャーで、社内には勢いがあった。
●創業期のハングリーさが必要
結局、上司からネチネチと言われたりする中でしか、人は育たない。また自分を本当に知ることもできない。それがないがゆえに、「そこそこ」と思い込む人が増えてくるのだろう。
この弱さを経営者や役員らの強力な営業力や技術力などでしのいでいる、というのが実態なのである。しかし、社員の多くはその危機意識を共有していない。ここに、このクラスの会社の悲劇がある。
だが、(5)のグル―プの会社はここを抜け出す可能性が多少ある。例えば、前述のライトアップやアイレップは、もう「中小企業」とは言えないレベルになりつつある。大切なことは、創業期のハングリーなものを社員らが共有できるかどうかだろう。それがうまくいけば、「中堅企業」と呼ぶのにふさわしくなる。新卒の人が中小企業に行くならば、このような会社がいいように私は思う。【吉田典史,Business Media 誠】
そういう、見方もあるのか、なるほど当たっているような感じがしますね。
もちろん、規模と年数だけでは、判断出来ないことであると思うが・・・