福袋の先へ 天野祐吉さんコラム 朝日新聞 |
去年も言ったことだが、福袋に集まる人たちの多くは、とくに欲しいものがあるわけじゃない。だからこそ、中身の見えない福袋を買うわけで、見えないくものを買うスリルを買っているんだろう。
福袋に集まる人たちが、買い物を楽しんでいるというよりも、何かにせきたてられているように見えてくる。
で、その人たちが住んでいるいまのこの国が、とくに欲しいものがないという「満たされた社会」ではなく、欲しいものがわからなくなっている「満たされない社会」なんじゃないかと思えてくるのだ。