落合恵子さんのコラム 朝日新聞 |
「3ヵ月先なんて、待てない……。そう思った。あまりに先のことに思えてね」静かな口調で、そう呟いたひとがいる。
数人で食事をしようということになって、それが3ヵ月先になったのだ。久しぶりに会うひとぱかりで、待ち遠しかった。
そしてその夜がやってきた。メンバーの中で最も年長で、最も静かなひとが言ったのだ。
「待つことが苦痛になっている自分がいる。我慢が利かなくなったのかなあ。たぶん、これも年齢のせいだろうね」
70代半ぱにさしかかったそのひとは、むしろ自分に問うような口調で呟いたのだ。
「来年の予定どころか、次の季節といっても、ずっと先のことに思える。その時、自分がどうなっているか・・・・。予想のつかない年代になったんだな」
年齢を重ねるということは、「そういうこと」なのだ、と記憶にある通りの静かな口調で、けれど、その時だけはきっぱりと、彼は言った。
彼の言う「そういうことの意味に、少し伸ばせば指先れるところに、わたしも近つつある。
私は、落合さんより、少し遅れて近くなるのですが、
そんな気持ちは、かえって必要なのかもしれませんね!