表現の必然性こそが肝心 佐久間文子 朝日新聞 |
「大きいのはごめんだ。大きいに自覚的に対抗する小さい本や芝居であり続ける方がいい」とする本は30年たっても古びず、むしろ今読んで考えさせられることが多い。
コンピューターや高度な印刷技術・資本を必要とする大メディアに対抗するのが手作業の小さなメディアだった。この30年で、コンピューターは小さなメディアの発信力を飛躍的に高めた。その一方でガリ版刷りの時代とは異なり表面的な技術の差もあまりないため、逆説的に小さなメディアを埋没させてしまう面もないだろうか。
技術的に多くが可能になったからこそ、何をどう伝えるか、可能だからというだけではない表現の必然性がこれからは大切になるだろう。大メディアから旧メディアと呼び方が変わりつつある新聞で書く私にとってもそのことは無縁ではない。
何か、興味を引かれるが、読んでみないことには、分からない!