■モウリーニョの流儀 勝利をもたらす知将の哲学と戦略片野道郎〈著〉書評より |
プロ選手としての経験を持たぬ通訳上がりの叩き上げ。だが、金銭も名誉も手にした有名選手に規律を守らせることにたけている。要求するのは情熱。応えなければスターでも容赦ない。自身も人一倍の情熱家。他チーム監督と舌戦を繰り広げ、選手以上に悪目立ちする。選手への批判を躱す戦略でもある。言動やメディア対応は、すべて人心掌握術の一部なのだ。
特筆すべきこの監督の巧みさは、マスコミを通した「情報戦略」にある。敵意むき出しの発言は時として度を超すが、報道がもたらす摩擦を利用して自身を奮い立たせ、チームをプレッシャーから守ったりもする。マスコミのバッシング(そしていつでも勝てば過去はうやむやにする)に、やら
れっぱなしの岡田監督とは決定的に「強さ」の印象が異なる。
ところで本書刊行後の5月、インテルは最高峰の欧州チヤンピオンズリーーグを制覇したが、モウリーニョは新天地に渡った。クラブを去る際、彼が物陰の男をみつけ、車を降り、駆け寄る場面があ
った。4年前のW杯決勝でジダンに差別的言葉を吐き、頭突きを誘発したマテラッツィたった。この
問題児も、スターを贔屓しない監督の姿勢を意気に感じ、出番の少なさにも文句を言わずチームのた
めに尽くす選手へと変貌し、監督の退団を誰より惜しんだのだ。不良生徒と熱血教師の号泣しながら
の抱擁・妬晰で熱いリーダーの魅力を示す印象的な光景であった。 速水健朗(フリーライター)
サッカーファンではないので、こんなことも知りませんでした。
この前日に、どなたかが、モウリーニョの呪縛というテーマで書いていたので、それ何?と思っていたところ、この書評を見つけました。日本の高校体育会の先生みたいだ??