危機感の乏しさに警鐘 元福井日銀総裁 |
ーー民主党の家計重視の政策をどうみますか。
「新しい経済や政策体系について、議論が尽くされていない段階だと思う。『企業から家計へ』という言葉はあまりピンとこないが、グローバル化時代の将来設計に、安全綱やある程度の所得移転の仕組みを入れた設計
図を描く試みであれば、意味はある。同時に、潜在成長力をいかに引き上げ、価値を生み出すかといi点も議論しなくてはならない。激しく闘い、勝っていくんだと。だが高度成長期のように形式的に平等な所得分配にな
らないリスクがあるから社会基盤にヒビが入らないように支えるんだと。
そんな立体構造が必要。すべて設計の問題だ。
話が日本経済の将来像に及んだとき、理路整然とした語り口がかすかに変わった。グローバル化と情報通信革命がもたらす激しい生存競争。立ち向かう日本人に危機感が足りない。そんないらだちからか「裸で厳しい競争を闘わなければならない」と繰り返した。′
闘争心に欠けるのか。最初は「そんなことはないだろう」と話したが、最後は笑いながら「第2位の経済大国の地位を降りたら、元気が出ると思う」。来年に、も現実になる「転落」。官民は原点に畢ち返り、将来像を真剣問い直すべきときだろう。 (経済金融部 大塚節雄)