西郷南州さん遺訓 人生の王道 その2 |
・武道というものは剣や盾をうまく使いこなすことをいうのではない。必ず敵を知ってこれに処する知恵のあることである。才能と知恵をともに持ち合わせていなければならない。
・西郷がもっとも厳しく戒めたことは、人が自分自身を高めていこうという「志」を捨て、努力するまえに諦めてしまう心の弱さでした。楽な方、安易な方に流されるままに生きようとする人間の甘えを、「卑怯」という言葉を使って叱りました。
・どんなことでも、まず強く「思う」ことからすべて始まるのです。「そうありたい」「こうなりたい」という目標を高く掲げて強く思う。それも、潜在意識に浸透するほど強く持続した願望でなければなりません。
・寝ても覚めても途切れることのないくらい、強いものであってはじめて、先人の教えを実践の場で生かすことができるのです。
・正道、つまり正しいことを行う者は、どうして困難で苦しい苦しいことに遭う。それだけに、どんな難しい局面に立っても、そのことが成功するか失敗するとかということや、自分が生きるか死ぬかということにも少しもこだわってはならないと、西郷は言います。
・ならば、死ぬときにどういう魂になっているかということが、人の一生の価値を決めるのではないでしょうか。つまり人生の目的とは、お金儲けや立身出世など、いわゆる成功を収めることでなく、美しい魂をつくることにあり、人生とはそのように魂を磨くために与えられた、ある一定の時間と場所なのだと私は思うのです。
・六つの精進
1.だれにも負けない努力を日々続ける
2.謙虚にして驕らず
3.反省のある毎日を送る
4.生きていることに感謝する
5.善行、利他行を積む
6.感覚・感性を伴うような悩み、心配事はしない
・たった一度しかない価値ある人生です。その貴重な人生に悔いを残さないように、毎日をど真剣に懸命に、また前向きに明るく、反省することを忘れず生きる。
ただひたむきに生きてきた七十有余年の人生を思い返すとき、そのように魂を磨き、心を高めようとしていく、「精進」の日々こそが、人生の目的であり、最も誇らしい生き方なのだと固く信じています。
・風呂は五右衛門、酒は焼酎、膳は一汁一菜。それをありがたく味わい、心地よい疲れを癒しながらゆったりとしている。今日もまた、そうした至福の時を迎えられたことに感謝し、心を鎮め、また明日も懸命に生きようと気持ちを新たにする。西郷はそのような状態を「君子の心」といったわけです。