ログハウスは地震、火事に強い!朝日新聞より |
コンクリートや鉄で出来た建物とは違い、ログハウスはたっぷり木が使ってあるのが魅力だ。ふつうの木造住宅に比べても2〜5倍、木材を多く用いる。木が持つ断熱性や、湿度を一足に保つ働きが心地よさにつながっているらしい。それに加え、強さを兼ね備えていることも明らかになってきた。
一つは耐震性。地震で滞れるとばらばらになってしまいそうにも見えるが、日本ログハウス協会によると、これまで阪神大震災や新潟県中越地震などでも倒壊例はない。協会は07年、なぜ強いのかを確かめようと、実物のログハウスを使った世界初の実験をした。
組んでずれない
茨城県つくば市にある独立行政法人土木研究所の実験用振動台の上に、2階建てのログハウス(スギ製、延べ面積108平方㍍)をつくり、どんなふうに揮さぶられるか調べた。
その結果、阪神大震災の時に神戸海洋気象台(神戸市)で記録された揺れの1・5倍の大きさの揺れを加えた時でも、外見からは損傷はほとんど見られなかった。
実験を担当した東京都市大学の大橋好光教授(建築構法)は「ログハウスや校倉造りは、塵の角から木が飛び出すようにして交差して組み合わさっている。このおかげで木がずれにくく、強い」と説明する。さらに、ログハウスは校倉造りとは違って金具で上下の木を固定しているのでさらに強くなるという。
科学で証明
「木は燃えるから」という理由で、火災には弱いと考えられていたが、これにも意外に強い。
「たき火でも、太い木には、火がつきにくいでしょう。表面はこげても中まで燃えるには時間がかかるのです」と、日本ログハウス協会技術委員長の池田均さん。焼けても有毒ガスが出ないことも利点という。
壁をバーナーで一定時間加熱する実験で、耐火性能を確かめている。火が裏まで貫通しない、反対側の温度が一定以上にならない、建物が崩れないように変形する量が一定以下などの条件を満たし、7年前に防火性能で二番目に厳しい「準耐火構造」として認められた。その成果で、花鶴丘幼稚園のような高い安全性が要求される建物も、ログハウスで造ることができるようになった。建築するのに防火性能が必須な都市部で、自宅としてログハウスを建てることができるようになったのも、実験で火に強いことが認められてきたからだ。
「今後も、経験的に言われてきたログハウスの様々な能力を、きちんと科学的に証明していきたい」と池田さんは話している。