大機小機 慌てずパンデミック危機に備えよ |
公衆衛生は公共財の典型であり、政府の役割が大きい。しかし役割が大きいからこそ責任も大きい。すでに政府は新型インフルエンザ対策行動計画を策定している。そのポイントを見直しておくべきだ
第一に、いったん発生した後の対策は中央集権的な対応ではなく、分権的対応を基本とすべきである。危機管理の観点からすれば、水際作戦によって感染を完全に防げるとは考えないほうがよい。発生後は現場の医療機関の対応がカギとなる。現場への権限と責任の委譲の範囲をいまのうちに決めておく必要がある。
第二に、治安と水道、電力、食料、金融といったライフラインの確保を優先する。パンデミック(世界的大流行)は特に都市部や人口密集地で猛威を振るう。交通運輸機関が止まると大打撃を受ける。
第三に、ワクチン・抗インフルエンザ剤作成に向けて国内製薬会社のインセンティブを増していく必要がある。もともとワクチン製造はうまみが少ないため、製薬会社も力を入れていない。通常のインフルエンザでも者が出るから、新型インフルエンザ対策とはトレードオフが生じる。
さらに危機が発生すると輸入に頼ることはできない。こうした状況では政府が補助金を出すか、あるいは高額で購入することを早急に考えるベきである。関連して損害賠償の緩和といった法的インセンティブも必要かもしれない。
第四に、リスク・コミュニケーションが重要だ。「手洗い、うがい、せきエチケット」といった基本的な習慣でかなりの予防ができる。しかし、こういう助言は守られにくい。効果的な広報活動が必要である。とりわけ集団行動を取りやすく、感染媒体になりやすい十代の少年少女たちにどう周知するか。彼らに優先的にワクチンを打てば、結果として多くの人命 を救えるようになるかもしれない。
パンデミックとの戦いは長期にわたる。慌てず、手を打つことが肝要だ。(カトー)
水際で防ぎきることは、無理にしても、出来るだけ、水際阻止が効果的ということでしょうか!