大機小機 日はまた昇る 期待してしまいます! |
特に大きいのは資源価格の下落だ。海外に資源を依存する日本は、資源価格が下がれば最大の受益者となる。円高差益も加わり、交易条件の改善効果は年間十五兆円と推計される。通常、交易条件が改善すると半年後に景気に浮揚力が働く。国際商品価格が下落に転じた昨年七月から半年後の今年一月に景気ウオッチャー調査の現状判断DIが好転したことと符合する。原材料費の低下が産業界を潤し始めるはずだ。
これまで年間二十兆円もの資本が海外に流出したが、国内で活用されることになれば、その分、内需拡大効果が期待できる。交易条件の改善効果と資本収支の赤字解消、さらに昨年来の財政出動の真水の分を合わせると約六十兆円だ。国内総生産(GDP)の一二%に相当する大きな力が働けば、日本経済はやがて不況から脱出するはずだ。
金融バブルの崩壊で欧米諸国では巨額の不良債権処理と金融・産業再編の長い苦難の道が始まった。幸い我が国は五年前に「平成バブル」の処理が終了し、影響は相対的に軽い。低炭素社会への転換と世界経済の再生に向けて主導権を握る絶好の機会である。
今回の不況においても、くしくも我が国は八十年前の恐慌時と同様、世界に先駆けて不況からの脱出に成功し、日はまた昇るだろう。(富民)