国領さんのIT戦略 日経新聞 |
同じことが行政の在り方にもいえる。高齢化に直面する自治体の財政状態を見れば、旧来の「行政が住民にサービスを提供する」という見下し発想を転換し、地域に住む人々を「地域づくりの主役」であると考えて、「住民の助け合いを行政が支援する」社会を構築しなければ立ち行かないのは明らかだ。
末端から発信される情報をネット上で集積、共有する「強い現場」のネットワークが、環境と経済の共生や、問題解決力をもつ地域社会などを基盤とする金融危機後の世界をつくるだろう。
現場の強さは本来、日本が強みとしてきた世界だ。その現場を、ITの力で旧来の「閉鎖的で保守的な現場」から「世界的な視野のもとにミクロな問題を解決する現場」に進化させ、危機を好機に転換する協働の環(わ)としたい。 =おわり