振れた振り子は揺り戻す 大機小機 |
義の大輪の花を咲かせた。富の偏在は国家間でも国民間でも、余剰資金を膨らませて金融を肥大させ、一時の繁栄をもたらす。しかし、偏在が常軌を逸して拡大すると、過当な投機を生み、やがてはその重みで金融は自壊する。
人類が繰り返した愚行だ。
被害者は投機に縁遠い国民であ薫「詐欺的金融」のサブプライムローンは低所得層の夢をかなえたというが、背伸びして手にした家を追われ、不況の寒空に放り出された人々の失意はいかばかりか。憂慮されるのは、社会の基盤である中産階級と労働者階級を薄っぺらにした報いだ。家計の不況耐久力を弱め、社会不安を高めて民主主義社会を危うくする恐れがある。
米国は国家を危機に陥れた原因を究明し、新大統領の下でニューディール(新規まき直し)にとりかかる。行き過ぎた自由への反動の行き過ぎた規制を懸念するのは分からなくないが、それは社会の健全な反応である。大きく振れた振り子は大きく揺り戻す。 (揮沌)