東京女子医大医学部長 大澤 真木子氏 日経新聞 |
医師は患者さんから学び、育てていただく。相田みつを氏のことば「そのときの出達(あ)いが人生を根底から変えることがある。よき出逢いを」を実感する。
医師とは科学の進歩を人間の幸せのために適用する義務を課せられた知的専門職である。
入学したての一年生は病院に送り出し、患者さんと時間を過ごす。待ち時間の長さを実感したり、身の上話を聞いたり。患者さんの心情に触れ、学生は感銘を受け、大きく成長・変化する。
医療人は学問としての医学を学ぶ。実践の相手は「人」。
ある人のただ一度の人生にかかわることとなる。その医療人が「どうかかわろうとするか」 「どうかかわることがきるか」が、その人の人生に影響を与えうることは否めない。
人体の構造を学ぶ解剖実習では、学生は生命現象の神秘に触れ学問の悦(よろこ)びを経験する。同時に献体された方の慈愛あふれる気持ちに思いをはせ、慰霊祭でご家族が故人をしのぶ時と空間を共にすることで医師として責献する決意を新たにする。
「学んだことのたった一つの証は変わることである」(哲学者の林竹二氏)といわれる。
教師も共に学び、.共に変われるとよい。
おおさわ・まきこ1972年東京女子医大卒 同大病院小児科などで研修を受け、94年間科主
任教授。今年4月から医学部長。専門は小児神経学。長く医学教育を担当。同大で離職した女
性医師の復職を支援する女性医師再教育センター長も務める。
良い話ですね!