JT生命誌研究館館長中村 桂子 人間を基本に 日経 |
であり、現実の社会制度や経済がそれで動くものではないと思われがちである。しかし、その実体は食・健康・知と心・環境であり、いのちを考えることは、生活の基本を考えることなのである。
人間は生きものであるという見方は、進歩観からすると制約に見えるが、逆にここには大きな可能性がある。機械はどれほど複雑に見えても既存の知識の範囲内のものでしかない。便利で、スイッチ一つで思い通りに動くが、思いがけないことは生み出さない。一方、生物を含む自然は複雑で未知のものが多く、思いもよらない発見がある。自然には新しいものを生み出す力があ
り、創造につながるのである。・環境破壊・人心の荒廃といぅ悩みから瀧膚出し、明るい未来を構想し、創造していくための原点は自然・生命・人間にある。人間を倍じ、自然を愛することから出発しよ
う。青臭いと言われても、これしか道はないと思う。