3こういう考え方もあるのだ! 日経新聞より |
こう考えれば、情報革命でアメリカがその先陣を切ったのも、結果的にそれがアメリカ没落の契機となりつつあることも納得できる。
夕夕自動車によるジャガー買収は、かつての植民地インドが宗主国イギリスを超えたという味で地球規模での工業社会の幕引きの象徴だ。同時に、遊牧社会のような農耕社会と工業社会を体験しなかった民族と地域が、情報社会の覇者となる予兆でもあった。では、なぜ遊牧社会が情報社会をリードしていくのだろうか。それは彼らが工業社会のしがらみからまったく自由だからだ。工業社会はモノの大量生産、流通、消費によって成長してきたが、情報社会では「モノづくり」でなく情報、すなわち「モノ語りづくり」が中心となる。そこでは農耕民的性格ではなく、牧民的性格が価値をもつ。遊牧民や非定住良は移動が生活の中心になるため、巨大で重いモノを維持できない。この点が生産装置が中核にな、る工業社会とは大いに異な官同じ民族であるということは、同じ土地に住むことでも、同じモノを所有することでもなく、さも体積もない共通の情報で結ばれているということだ。その代表がヘブライ語とユダヤ教という情報だけで結ばれているユダヤ民族で、彼らがコンピューターやインターネットの歴史をつくってきた。.
今日の地球規模の視点で、情報社会としての未来をみれば、これまでの世界史の視野に入っていなかった遊牧社会や非定住社会がリードしていくことが予測できる。そして、工業社会の覇者がそこで生き残る道は、先端型の農耕社会に変容することであろう。
なるほど、説得力がありますね。
この方は、関西学院大学 教授 奥野 卓司さんです。