週末八ヶ岳 いなか暮らし 小宮宗治著 |
⇒青森に住んでいたことがあるので、この気持ち多少はわかります。
雪は、すべてのみにくいものを隠してもくれます。
そのおびただしい星のかがやきが天空全体に広がっている。
わたしがそのときに感じたのは、厳粛でかつ至福な幸福感であった。ふしぎなことに私にとって、
その自然をうけいれているというよりもむしろ所有しているといった欲張りな感情であった。・・・・
うまれたときからずっと都会に育った私としては、どんな高額の金銭をもってしてもあがなえないそのすばらしい夜景をもっていることにはげしい満足感をおぼえた。
冬の朝はやく目をさまして、山肌を染める朝焼けをながめるとき、あるいは畑仕事をそろそろやめようとして、ふと、やまなみをシルエットにして夕焼けした茜雲をながめたとき、恍惚感におそわれたのは嘘でなかった。それは日々の人間のいとなみを超越したおおきな経験として実感できる、マズローがとなえた至高経験をへて完全な人間に達する心理学のおしえるところの一端にいま私がふれつつあるのだという感懐である。
なんのためのいなか暮らしかという問いにたいする私の答は、つきつめればそのような至高経験をする機会を作りたかったからだということになろう。・・・しばしばそういう機会にめぐまれて
すこしは大局的にものをみることのできる人間になりたいものとおもっている。
本を整理するにあたり、抜き書きでできているかチェックをしようと思ったら、投稿済みでした。
2007.8.28