人口減も良いことに活用したいですね!日経新聞から |
千葉県北部を走る利根運河周辺。東京近郊には珍しく水辺に森林や水田、湿地が残り、オオタカなど希少種を含む動植物が住む。
一九九〇年代半ば。この一角をある建設会社が買収し、宅地開発を計画したが、経営難から破綻した。バブル期なら他社が買い取って開発を進めたかもしれない力 人口減時代の今は買い手が現れなかった。
放置すれぱ環境が荒廃する恐れがある。そこで今年初め、野田市と市が出資する農業生産法人が会社所有の山林・農地の買い取りに着手。動植物の保護と同時に有機農法のコメ作りに乗り出すことにした。
野田市モデルは人口減少時代の都心と郊外の共存へのヒントになる。国際基督教大学教授の八田達夫(63)は「都心集中で効率を上げ、公共事業は道路などから郊外の自然保護に軸足を移す」ことを提唱する。投資収益に還元しにくい自然保護は、政府が担ってもおかしくないからだ。
経済成長のアキレスけんとされる環境破壊を克服するのは、技術革新だけではない。道のりは困難だが、人口減は環境と両立する新たな成長へのチャンスかもしれない。