横山晃さん スクラップより500トン帆走客船 |
こんなことまで、考えていたんですね〜
読んだ当時は、こんなに大きい船関心もなかったのですが・・・・
写真がボケていると嘆いていたら、上の写真のほうが鮮明でした。
よくみたら、ブームがないんだ!
個性的なフネと人 横山晃Akira
500トンの帆装客船
今月は、少し視点を変えて帆装客船を紹介する。帆装客船は営業用の商船なので、鉄道や空路と同じように予定どおりのタイムスケジュールで運航される。
そのため台属以外には風持ちなどしないし、また、凪待ちもしない。
客船の必要条件は、
①目的の港に予定どおり、ピタリと入港すること
②物やタンカーよりもスピードが速く、ピッチングやローリングの小さい(新幹線や飛行機よりもれない)スムースな走りでが楽しめること
③キャビンは、清潔でセンスよく整然と造られ、美味しい食事と楽しいスポーツや趣味の施設があり、夜はパーティーなどの催し物が開けるなど、船旅の楽しさが約束されていること
同時に、船主や運航会社からは、
A.帆が自動制御されていて、船長が操駅を指揮する必要がなく、セーラーも不要で、飛行機や新幹線と同様に少数精鋭の乗員で航行できること
B.事故や故障が少なく、万一のトラブルに対処できる方法と装備が用意されている(トラブルを人身事事故に発展させない)こと
などと、「あらゆる交通手段の中で最上級の経済性と安全性を備えていること」が必要とされ、しかも、これに加えて魅力ある営業手段ということまで要求される。
このように、帆船が滅亡した100年前には想像もしなかったような難題が、現代社会では当然のこととして要求され、しかも高度な科学技術を利用することで、この難題が解決される時代が訪れつつあるのだ。
帆装そして自動制御の理論
まず「なぜ縦帆なのか」ということから説明する必要がある(注:風を孕まないセールがヨットのように前後方向に取りつけられているのが縦帆。日本丸のように左右に取りつけられているのを横帆というヨットならば「なのは当然」と誰もが思うだろう。しかし、このフネはヨットでなく商船であり、帆船である。一般的に「帆船ならば横帆の方が似合う」という
のが大多数の人の常識的な意見であり、こうした常識論を抜きにしても、「客船ならば魅力的なスタイルが必要であり、とすれば横帆というアンティーク志向の方が営業政策に有利ではないのか?」といえるだろう。
それでも、この帆走客船には「縦帆が必要条件」となるだけの科学的な根拠がある。この船は昔の帆船と違い、帆走スピードが22ノット(40.7km/h), 営業スピードは12~18ノットで、たとえ微風でも港内以外は12ノット以上のスピードで航行する。そのため,図2に見られるように、真風向が45°,90°, 135°, と変化しても、相対風向(実際に帆に吹き込む風の方向)は、16°,29°,33°と全てクローズ・ホールドになり,実際には真風向よりも格段にシャープな角度になる。風速が10m/s以上の強風になれば,アビームやクオータリーの相対風向も僅かな確率で実現するが,それでも80%以上の時間がクローズ帆走となるのだ。
日本丸のような横帆の船は,クローズホールドの帆走に不向きで,この帆装客船のような縦帆の船さえ16という鋭角クローズに合わせるには、特別に高度な技術による自動制御が不可欠である。
逆に言うなら、日本丸のような横帆では、特別に高度な技術で自動制御しようにも制御できない場面が多くて営業的に採算がとれない。それに比べ,この手の縦帆ならば,制御できる可能性が高くなるのだ。
以上のような現実を踏まえて「自動制御の理論」を考えるためには、理詰めの考え方をするよりも, シロウト的な客観姿勢でアプローチする方が,創作ヒントを掴む際や、第三者が納得する際に理解しやすい。
ディンギー・セーリングの名人に「目隠しされたままで操帆できますか?」と質問すると、大概の人は「できる筈だね」と答ええるだろう。早い話が,全くの闇夜の中で手探りしたとしても,帆走は可能なのだ。たとえ風見が見えなくても、首筋に流れる風の感触で風向と届力の変化はすぐ分かるはずだし、セールが見えなくても、シバーすればシートに振動が伝わってくる。
船体から足や腰に伝わる体感で、縦の動きのリズムとメロディーが分かり、さらにはバウに崩れるバウ・ウェイプの気配まで感じられるようになる。またその波圧の余韻が飛ぶように船尾に消えるか、それともゆったりと消えていくかは、聴覚で感じとれるはずだ。このような感覚を総合したもので、低速というものは直感できるはずである。それでもシートの締め過ぎだけには気付かないかも知れない。その時は、シートを少しずつ伸ばし、シバーし始めたら逆に少し締めて、風向きとセール角度をマッチさせる。そうすれば艇は溌剌と生き返るはずだが、それでも艇速が思わしくない時は、センターボードを一度上げてから下ろし直てみると、センターボードに絡んで足を引っ張っていた海草の塊が除去され、再びスタートダッシュを始める場合が多い。
このような「名人の体感と対応」を克明に分折し、帆走科学の理論に照らして整理すれば、意外に少数のセンサーとウインチの組合わせでも、ロボット操船ができるだけの可能性が見えてくる。
帆走という活動を経験したことのある動物は、人間と帆立て貝以外には見あたらず、しかも、その帆立て貝でさえ、風に乗って漂う種子に似て、決して操帆とはいえないのかも知れない。他の動物に倣うものがない以上、結局のところ「帆走名人のロボットを創作して船に送り込めばよい」という単純でシロウト臭い発想が唯一の手掛かりとなるかもしれないのだ。案外、そのシロウトの視点からのアプローチ・コースが実際には、前人未踏だったりする。なかには「硬帆でなければ自動制御できない」という説まであったと記憶している。
とにかく我々の企業グループは、この路線でシステムを築き、多くの討議を重ね、独自のセンサーを開発し、風の中でセールとウインチとセンサーを組み合わせて試運転するという水面下での活動を続けながら、併せて国内特許や国際特許を出願し、残るは「海上での実用」だけという段階まで進んできた。
残るは「海上での実用」
って、すごいじゃないですか!!
また元の記事に戻ります。
そして、時間のないセーラーたちに、モーターセーラーを!!
追加 2020/05/27
これも、追加しておきましょう!!
メガヨットのユーチューブを見ていたら、横山さんも、500トンの帆船客船を考えていたな〜と思い出しましたが、
こんどは、ちょっと、小型のヨットで、
追加 2022/01/24
横山さんとは、まったく関係がないのですが、
こんな研究もされているんですね、ちょっと、びっくりです。
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/thesis/ds1/DS100003.pdf
こんなサイトもあります。