女ひとり70歳の茶事行脚 半澤鶴子さん |
こんなに秩序の良い世界ってないんじゃないでしょうか
型破りの旅に出ました、鍋釜茶道具と車につんで、出会った方におもてなし
どんな方にも、同じ心で、楽しい、無心のお茶が立てられるかどうか、そういう模索の旅です。
茶事とは、正式な茶会のことです。懐石料理を出しお茶を立てます
季節を味わい、移ろう時に身を澄ませる
見えないところで最善をつくす心をおしまない
そのための修練の日々です
料理はできるだけ手を加えず、
命がけの刷新をこういうものから頂きます
車に寝泊まりしている!
ようこそお越しくださいました
最初にご飯 あなたのために炊きましたよという気持ちだそうです
お汁には白玉だんご、笑顔と酒で緊張をほぐします。
摘みたてのよもぎは豆腐にしました。
こころは常に客の気持ちを読み、時間と戦っています
茶の湯の作法には、豊かな意味があります
おしゃべりしなくても気配でわかるように出来ている
中立 一旦外にでて、安らかな風にあたります 濃茶
心と心を通わせます
熱いですけど
一期一会
また、お茶始めようと思いますと女性の声
調理学校に通い、40過ぎてから茶事にのめり込みます
出張茶事の達人として知られます
柔軟な対応を求められる茶事を、実に、一千回以上とりおこなってきました
まさに、そのままの自分が出るので。未熟さも、無学さも、そういった事が、
一瞬、一瞬、暴露される世界なので、
それが非常に心地良かってですね、反対に
山水風月の息遣いを実感するための旅でもあります
夜は野宿することにしました、70歳で女性で野宿
自然の気配と音の文化だから、お茶は。
できるだけ、極力、自然の方に自分が歩み寄るという意味では、
野宿最高やよ。最高の舞台やよ
蚊がいっぱいいるわ、かゆ、かゆ
すごいな〜
突然、茶を始めてしまうのですから
38度近い熱がでました、翌日朝5時から準備をしました
熱は下がりません、苦しい顔は見せられません。
その時、ビワマスが届きました
ゴメンね、ゴメンねと言いながら、マスをさばきます、はいごめんなさい!
綺麗な身、おろしたてを氷で締めたあらいです
集まった人たちを待たせてしまいました
猛暑で集めた野菜も使えなくなりました
堅いなと漁師さんの声
客人に楽しんでもらうことだけを考えて4時間の茶事を終えました
まあ、その不都合なところにいろいろな世界があるんで、
不都合を厭わないで続けていれば、神様が知恵をくれますんで、
それはそれで、いいんですけど、落ち込みますね
これまで前向きに生きてきた半澤さんでしたが、影が出てきました
70歳になって、身も心を
いつも渇望、飢えていました、だから厳しい方に、厳しい方に飛び込んでいく貧乏性でした
強く生きようと気まました
笑顔でふんばってもいつも一人でした
井戸の水をみて、「井の中の蛙大海を知らず」ってあるやろ、
でも、「されど 天を仰げる」というの思ったの
天ぐらい自由に仰いでいる
胸が張り裂けそうになる時、口から出てくる歌が
♫わたしがおねむになったとき・・・ほんとうにやさしいおかあさま
秋が色づいても、半澤さんの表情は晴れません
京都瑞峯院 「待庵の写し」がありました
利休は70歳でなくなりました、利休が生きていたら、どんなお茶をしたのか
一人ではできんようになりました
分かっていることができんようになって
飲んだら、スカッとするやん
二畳の茶室です、たった一人のためにもてなす究極の茶事です
口切りの茶事
持ってきた茶臼で1時間かけて茶をひきます
海老しんじょ
花一輪に飼いならされっていったら(どういう意味や)
ええ言葉やな、究極の言葉や
その場その土地にあることを感じるなとれたら
ありのままの花の美しさを思うと
なんも思い煩うことなく旅をしたら ええか
人生それだから
「花一輪に飼いならされる」
新茶の香りがほっとする
秋の旅はよい旅になりました
やさしい空気がながれている山里がありました
今日は楽しんでくださいね
目の前で料理もしてしまいます
いや〜こんなきれいなところで、こんないいお客さんに出会えて
まあ、夢にも思わんことで
「死に土産や」
お付き合いのほどありがとうございました
でも、死に土産と言ってくださったので、冥利なことでした
あらためて、ありのままにすべてを受け入れることの中に答えがあるように思えます
しかし、旅は中断されました。
こぶし大の大腸がんが発見されました
幸い、転移も見つからず、
なにか、生きよう、生きよう、生きようという励ましのリズムを感じて
奥会津いいご縁を頂けるといいですね
学生たちがどんな思いで
半澤さんは命がけで行くと言い張ったのです
真っ白な雪の原野の中で茶事をやってみたいと
山の営み、大地の営みを、いろいろな大きな息遣いを
自分が体現してみないと分からんかなと思って
ゆっくり雪と対峙してみたいなと思って来ました
(すごいね〜)
雪の上に場所を定めたら食材を探しに行きます
次の世代につなげる命の力です
この春、高校三年になるという彼女たちとは、道すがら出会ったのです
雪のこんな深い中から芽吹く力を頂いて、
あなた方の芽吹き、人生の門出とな、芽吹きの色、全く同じやよ
新芽の胡麻和え
雪中梅、
雪の中から、掘って出てきた、いとおしい、いとおしい
どう、
ああ、美味しい
それは土の中から出てきたお味やね
座があったまると、南相馬から避難してきている子がいるとわかりました
避難してみると、新しい出会いがあることがわかりました
若者は、それぞれの出会を受け入れていました
今の方が好きだから
それは、花一輪に飼いならされているそのものでした
あったかくて美味しい
美味しい・・・
未来がいっぱい、いっぱい、幸せであるように
楽しい時間はあっという間に過ぎる
ありがとうございました
70歳と17歳
人と草花
半澤さんの茶事は、一期一会
命と命を通わせる営みでした
命に限りがある事、その切なさの背中合わせに、
人は、いたわり合って、優しさを分け合って
自然と優しく寄り添ってきた
そんななかからこそ生まれてきたのが茶事の世界かなって、
改めて実感した旅であったように思います