古い読書ノートから センセイの鞄 |
う~ん、期待通り面白かったです。
こんなジイサンになりたいなとつくづく思ってしまいました。カクシャクとしていて、知識はあって、それなりに肝も据わっていて、なんか笠智衆のイメージが湧いてきて、そんなジイサンとして読んでいました。
38歳の独身OL(もう死語なのかな?)で、多分学生時代はそんなに目立たなかった教え子と奥さんを亡くした国語の先生が居酒屋で出会って、デートを重ねる話です。
月の市、キノコ狩り、花見、島へ泊りがけの旅に、その間に同級生に何度も誘われるのですが・・・・
先に教え子から、告白をするのですが、センセイもいい歳をして、「付き合ってください」と教え子に告白してしまうなんて、とても良いではないですか!!
でもこの教え子も若い男の誘いを断って、こんなジイサンと付き合って、将来どうするのだろうかと他人事ながら心配になってしまいました。
こんな教え子っているのかな、もし、いるなら先生になってみたいと思うけど、現実にね、いませんよね。
でも流石に国語の先生です、教え子に話す薀蓄が違います。
14日(日)の連載中の日経では、作者も教師の時代があったそうですからその時代の経験も活きていると思います。毎回の内容は、この作品を書くような、ちょっと風変わりな(ある意味正直?というのか)人を思わせます。
話では、常にお酒が登場して話を盛り上げますが、二人とも随分、お酒に強いなあなんて変な感心をしてしまいます。
お酒が契機になって、デートに誘ったり、聴きにくいことを聞いたり、告白したり、また喧嘩の原因になったり、思い切って打ち明ける力になったり、お酒の効用を再認識した次第です。
作者はこの物語で何を語りたかったのかなと、ふと思ってしまいました。
これから老年に向かう団塊の世代への応援歌?中年を喜ばせてやれ?こんな愛の形もあるんだよ、いつまでも恋・愛を忘れては駄目だよ、・・・かな。
団塊の世代とは、約一昔違う世代の著者です。