熟したオリーブの実が落ちる時 日野原重明さん 朝日新聞 |
ふしぎな病を与えられ
もう余り生きる日の少なきを知れば
人は一日一日を奇跡のように頂く
ありうべからざる生として
まだみどりも花も見ることができ
まだ蓮の花咲く池のほとりをめぐり
野鳥の森の朝のさわやかさを
味わえることのふしぎさよ」」
神谷さんは感謝の心をもって死を受け入れたのでした。私は神谷さんの訳した『自省録』で出会った次の言葉を思い出しました。
「ほんのわずかの時間を自然に従って歩み、安らかに旅路を終えるがよい。あたかもよく熟れたオリーブの実が、自分を産んだ地を褒めたたえ、自分をみのらせた樹に感謝をささげながら落ちて行くように」。