つばさ車内販売員 斎藤泉さん その2 |
サタデー日経から無断転載 ゴメンナサイ
きょう売れると思う商品やおすすめ品は前面に。
数は出なくても必要な商品はそっと忍ばせる。
どんな商品があるか、通路の両側のお客様が等しくわかるよ
う、なるべく左右対称にすることにも配慮します。
大事なのはもうひと手間
「車内限定」と書いてあるのを見て、「買ってみようか」と
思うお客様もいらっしゃるでしょう。
座席から見て美しく、お客様が「この店をのぞいてみたい」と
思う雰囲気を出したいのです。
車内の動作にも心がけていることがあります。
例えばお釣りをお渡しするまでのスピード。
一秒でも早くできればその積み重ねで、より多くのお客様に応対する時間を
作ることができる。
「終点が近づいているけど、最後にもう一回、回れる」そんなとき、
私はその日の一押しの商品を、直接手に持って歩くことにしています。
ちょっとした心がけの積み重ねがあったからこそ、生かす機会が生まれる。
たとえ売り上げに結びつかなくても、それがサービスだと思うのです。
品物に、有用な情報など付加価値を付けて、得した気分を味わっていただく。
自動販売機ではなく、販売員だからこそ、お客様に言える二言目なのです。
小さなお子様用にアイスクリームをお求めなら、
「スプーンは二つにしましょうか」。
心に届く二言目がお客さまの満足感を高めます。
「二言」を心がけていると、相乗効果を得ることもあります。
特製の「あんばん」を買ってくださったお客様に
「生地がモチモチしていて、すごくおいしいんですよ」と二言目。
すると次に通った時に「おいしかから」と追加注文を頂いたり、
隣のお客さまが興味をしめし購入されたりすることもあります。
和やかな雰囲気が車内に広がります。二言目が縮めるお客様との距離。
車内販売員冥利(みょうり)に尽きるひとこまです。