マリナーズ城島健司選手の見事な成績の陰に「ノート」 |
た背景には、 「ノート」の存在がある。
キャンプ中の映像にはダッグアウトで小さなノート
に文字を書き込んでいる城島の姿があった。
メジャーリーグ、日本を問わず野球で成功を収めて
いる選手の多くが、自分のノートを持っているのをご
存じだろうか。昨季までマリナーズの投手として活躍
していた長谷川滋利は、毎日欠かすことなく、トレー
ニングや登板内容を克明に記録していた。打者との対
戦に関しては、投げたコース、球種、相手の反応まで
が記入されていた。
偶然だろうが、野球ノートについて取材すると、投
手は相手のことを書き込むことが多いのに対し、打者
は自分の感覚を言語化しようとする選手が多い。投手
と打者の「職種」の違いがそうさせるのだろう。
ではなぜ相手のことを詳細に書くのか、理由を長谷
川に尋ねたことがある。 「書くことで記憶の定着
度が変わるからです。投手と打者は記憶の勝負をして
いて、同時にそれは次の勝負の伏線ともなる
長谷川はまた、人間はノートに書かないと、自分の
都合のいいように勝手に記憶を変えることがあるし、
書いておくことが重要だ、とも話してくれた。
野球選手のノート。グラウンドでの結果は、夜の書
斎の地道な作業によって作られている.
朝日新聞4月22日より