だれかを犠牲にする経済はもういらない 原丈人 金児昭著 |
会社は株主のためだけにあるのではないが、この本のテーマに思えます。
日本経済が安定して、雇用が活発になるように祈ります。
・アメリカの株式市場は、資金調達の機能をなくし会社から資金を吸い取るのが仕事です。
・1990年代から、市場原理だけに忠実な資本主義は、果たして人々を幸福にできるものなんだろうかという疑問を持ち続けてきました。・・・新しい資本主義」の理論を構築し、自分自身の手で実践したい、そう考えてやっているところです。
・個人、法人、機関投資家の資金が、投機的なゼロサムゲームに流れるのを止め、長い目でみればはるかに大きなリターンをもたらす研究開発などの中長期の投資に対して流れていくような、税制、金融制度、証券制度などを日本が先んじて整えることができれば、金融不安の循環による世界の混乱を食い止める役割を日本が果たすことになります。
・アメリカの金融資本主義のおおもとにあるのは、二つの間違いです。一つは「市場万能主義」、つまり、市場にすべてを任せるべきだという新古典派の経済学です。もう一つは、「株式至上主義」つまり、会社は株主のものという考え方です。
・株式至上主義もおかしな考え方です。会社は株主だけのものではなく、従業員、顧客、仕入先、地域社会などの多岐にわたるステークホルダーのもののはずです。
・私は、たとえその後失敗したとしても、会った時の印象が素晴らしければ、その人に賭けます。そうでなければ、人生つまらないではないですか?
・小田切社長は、会社が厳しい時にあるときでも、「利益がほしい」とは口が裂けて言わず、「わたしは税金が払いたくてたまらない」とおっしゃいました。
・私は「会社は人間を幸せにするためにある」と思っています。
・人生「出たとこ勝負」と思って、目の前のことを一生懸命にやる。そして心のなかででは将来のデカい夢をみる。そんな生き方も悪くない。いえ、わたしは、こんな生き方がいいと思ってます。
・「日本語で仕事ができないやつ人間は外国でも仕事はできない!」と叱られました。
・ないものねだりをやめ、ないものはないんだと明るくあきらめて、ありのままの自分や運命を受け入れて、目の前のことを、一生懸命考えて一つひとつ取り組む。自分で「考える」という主体性が、「あきらめる」力を生み、自分をかわいがることにつながると思います。
・もっともっと、自分を徹底的にかわいがることが大事です。
・そもそも、上司というのは、すべて気にいらないものです。・・・・上司の命令は絶対です。ですから、どれほど気に入らない上司でも、言われたことの大部分はそのとおりにやったほうがいいのです。
・私は、「人間だれしも自分がいちばんかわいい。自分をかわいがるためには、偉ぶったりせずに、ひたすらペコペコするのがよい」という「ペコペコ哲学」を推奨しています。
・企業性善説をベースにしなければ、世界の人たちは幸せになれないと思います。
・そもそも、企業性悪節という考え自体ナンセンスで、ルールや基準づくりをする際には、企業性善説に立脚すべきです。
・グルーバルスタンダードという名のご都合主義に振り回されたくない
・排出権取引はサブプライムローン以上の問題を起こす。
・国民があらゆる情報を「明るいニヒルな姿勢」で受け止め、自分の頭で考えることが大事だと思います。
・相手の間違った考えは相手自身に変えてもらわないといけません。押し付けずに、相手のフィールドを大切にしながら、相手自身に変わってもらうたまにはどうしたらいいか。難しいことですが、そこを考えぬくのです、私はいつもこのことを自分に言い聞かせています。
・実践の一方で理論をつくる。そうしないと「公益資本主義」は世界に広がりません。
・今後、ますます高度化していくネットワーク型社会を支えるための技術は、既存技術のイノベーションだけでは生まれないんです。
・計算機能主義から通信機能主義に変えていこうとする潮流が新たな産業を興します。わたしはこの概念を、PUCと呼んでいます。
*PUC(パーベイシブ・ユビキタス・コミュニケーションズ)とは、使っていることを感じさせずに、どこにでも存在し、コミュニケーション機能を中心とした次世代のコンピュータの技術形態を指す概念のこと。原丈人が著書「21世紀の国富論」で提唱した。
・PUCはソフトとハードを一体化させるビジネスモデルですから、小型で複雑なハードウェアを作る能力を持つ国にしかリーダーにはなれません。モノづくりに長けた日本の優位性が高まるはずです。
・日本人は、公益資本主義を理解できる。
・税法を変えて、中長期の研究開発や未来の基幹産業をつくりだすような技術に投資する場合、その投資は損金扱いにできるような仕組みを導入することです。
・新しい資本主義の枠組みは日本が提示するけれど、最終的には、欧米も納得するシステムにする必要があります。そのためにも、「会社は株主のもの」という考え方を否定し、現在、主流派とされている理論経済学や経済学者たちを納得させるだけの理論武装をしなければなりません。
・私たちは、もう一度、人々が幸せになるために生まれた資本主義の原点に立ち返り、会社とは何か、人間にとって、社会にとっての幸せとは何かを改めて問い直す必要があります。サブプライムのように、「カネがカネを生む」ビジネスが賞賛され、金儲けにひた走り、一握りの人問だけが巨額の富を得て、人が人を信じられなくなるような社会にしてはいけません。そのためにも、日本から新たな資本主義をつくりあげるという国家意思を世界に向けて示し、世界を納得させていくことがこれから必要なんです。