東日本大震災見えてきた津波災害の実態 |
講 師:大阪市立大学大学院理学研究科 准教授 原口強氏
2011年9月17日(土)午後2時~4時
木造建築の倒壊が少なかった東日本大震災の地震の揺れ
震度とマグニチュードについておさらいです.「マグニ
チュード」は地震そのものの規模とエネルギーを表すもの
さしで,「震度」はその場所での揺れの強さのことを表し
ます.電灯で 100 ワットと 10 ワットの差がマグニチュー
ドだと思ってください.ルックスでは,10 ワットでも近
づくととっても明るいですよね.ですから,震源が直下の
時には,小規模の地震でも非常に強い揺れが起こります.
阪神大震災ではマグニチュード 7.3 ですが,東日本大震
災は 9.0 です.それは,エネルギーとしては約 1000 倍違
います.少し前に起こったニュージランドのクライストチ
ャーチの地震では日本人の留学生が沢山亡くなりました
が,マグニチュード 6.0 ですから,エネルギーとしては阪
神大震災の約 30 分の 1 です.
今回の震源は,牡鹿半島の 130 キロ~140 キロの沖合の
地下で地盤が割れはじめ,最終的に幅 200 キロ,長さ 500
キロの範囲の岩盤が破壊されました.実際に震度 7 が観測
された場所もあります.
ところが今回は建物の被害はそれほど大きなものでは
なく,津波を受けていない場所では建物はほとんど壊れて
いませんでした.その理由は,阪神大震災の地震波形と比
べるとよくわかります.今回の地震は非常に周期の短い揺
れが続いています.地震は非常に大きかったのですが,阪
神大震災のような木造家屋を倒す周期の波の強さが3分の
1 程度と低かったので,倒壊が少なかったです.