塩野七生さん 十字軍に学ぶリーダーとは |
善意ぐらい悪をもたらすものはない」と思ったという。8度にわたる遠征で最も悲惨な結末はフランス王ルイ9世が率いた第7次十字軍―熱心な信者だったルイはヽキリスト教徒の血を流してこそ聖戦というローマ法王の言葉を素直に受け止め、無謀な行軍で惨敗、大きな犠牲を払う。「自分に疑いを持っている人はあまり悪行は犯さない。自分を正しいと思っている人たちが災害をもたらすと思う」
理想のリーダーはイギリス王リチヤード「獅子心王」だ。彼の第3次十字軍は交渉でキリスト教徒の聖地巡礼を認めさせた。戦略的な思考と前線に切り込む勇気を併せ持ち「勝つべくして勝った男」と評する。居眠りして捕まりそうになる場面もあるが「俺たちがいないと、と部下に思わせるのが一番強いりーダー。完璧な人はだめです」。
さて、日本のりIダーだが、「今のところ野田さんでいいか」という。評価しているわけではなく『十字軍物語』で「いい男たち」を書ききった満足感から余裕ができ、「欠点ばかり探すのはやめようという気持ちになった」そうだ。「今の日本ってマイナズ思考でいっぱい。それでは身動きがとれなくなる。まぁ、華のない男だけどね」(中村真理子)